兵庫県三田市にある岡村酒造場さんが平成30年末に蔵出しした新米新酒「千鳥正宗 三田しぼり」です。純米酒の生酒となっています。平成30年(2018年)12月蔵出し。
千鳥正宗 三田しぼり 900ml 1,420円
自家栽培五百万石の純米生酒
新米新酒生酒の第2弾として、アルコール添加の「しぼりたて」に続いて蔵出しされた純米酒バージョンです。原料米は自家田で収穫した五百万石。精米歩合は70%です。酒母は速醸酛で酵母は協会9号(または901号)酵母です。アルコール度が17度以上18度未満、日本酒度は±0。上槽はヤブタではなく、ちょっと変わった槽搾りです。
米とアルコールを味わうお酒
穏やかな麹の香りが立ち上がり、口中香でわずかにイソアミル系の果実香が漂います。口当たりは柔らかな甘味を伴ったおとなしいものですが、徐々に酸味と渋味を伴ったアルコール感が膨らみます。新酒生酒にありがちな刺激的なフレッシュ感やジューシー感ではなく、まったりと濃いめのアルコール感と米の旨味にあふれたスタイルで、適度なキレを見せながら米の味わいを余韻に残します。モダンな日本酒バーではなく、青空の下、収穫を祝う祭りにぴったりと合いそうなお酒です。
独特の槽搾りから生まれるお酒
ほとんどが地元三田市で消費されるというローカル色の濃い酒蔵ですが、米も五百万石と「古代しぼり」として醸造される赤米を自家栽培しています。今年の五百万石は9月11、12日に収穫されたもの。1等米となり10月末に委託精米先から戻り、11月早々に洗米に入ったようです。12月2日には同じく五百万石の70%精米でアルコール度19度台の普通酒「しぼりたて」を蔵出しし、6日にはこのお酒が登場しました。比較的短い醪期間で十分に発酵が進んでいるのは、仕込水である名水、羽束川の伏流水によるものでしょうか。
上槽ですが、酒袋と金属板を交互に積み重ねて垂直に圧力をかけて搾るという槽搾りです。Facebookで映像が公開されていますが、金属板の端からしぼられた酒が滴り落ちる風情は独特で、こんなに旨そうな上槽風景は見たことがありません。このため上槽室は酒の香りが充満するそうです。醪を詰める袋は通常の「槽搾り」のものではなく、サイズの大きなもので、酒粕も板状になるそうです。なお、Facebookの解説は鉄板となっていますが、もちろん「鉄」ではない金属です。