2016/8/11投稿記事 兵庫県姫路市の田中酒造場さんの「大吟醸 白鷺の城 金賞受賞酒」27BYです。平成27酒造年度全国新酒鑑評会金賞受賞酒。H28.7月製造です。
特徴 平成27酒造年度全国新酒鑑評会金賞受賞酒
このお酒は38%精米の兵庫県産山田錦を使用。アルコール度は17度。日本酒度は+4で酸度は1.4です。酒母は速醸で、酵母は蔵の保有酵母ということになると思います。以前に伺ったところでは、100を超える保有酵母があり、抗セルレニン耐性酵母の分離・培養も行っているというお話でした。
印象 やさしげな香り、甘味と柔らかさを感じるお酒
香りは華やかながらも、リンゴから白桃に近いやさしげな香りです。この香りに包まれて最初に甘味を強く感じます。口中に苦みが柔らかに広がりますが、これはアルコールによるもの。この柔らかさと甘味が調和するのが、「素朴で穏やか」というこの蔵のお酒の特徴でしょうか。1.4の酸度は金賞受賞酒のなかでは低い方ではありませんが、ほのかに感じる程度で、余韻のキレ方も静かに消えていく感じです。この蔵のお酒を一緒に飲んだ人の共通した感想は「おいしい、そしてやさしい」というもの。このお酒もこの点は同じです。もちろん金賞受賞酒ですので、香味の特徴は鑑評会出品酒に共通した方向になりますが、鮮やかさよりふくらみを強く意識します。今年度味わった金賞酒のなかで最も甘味と柔らかさを感じるお酒です。
バラエティの豊さは、ただただ楽しく我が酒を醸すの精神
金賞の受賞は平成24酒造年度以来というのは意外で、毎年受賞しているような気がする姫路を代表する名醸ですが、初受賞は昭和62酒造年度とこれも意外に近年のことになります。以来、今回で18回目の受賞はさすがです。一方、この蔵の特徴は”金賞”ではなくラインナップの多さ。同梱されていたパンフレットには23品が掲載されますが、驚かされるのは幅の広さ。上代の庭酒から戦国時代を復刻した酒、水車精米の酒から、米も野条穂や亀の尾を使ったお酒まで。中でも「亀の甲」ブランドの亀の尾には8%精米!という飛んでもない酒も。「8%の意義は」の問いに、米の納入農家さんは「社長の遊びやろ」と。しかし、ここに「慌てず、じっくり、たんたんと、ただただ楽しく我が酒を醸す」の精神が表れているようです。
大吟醸 白鷺の城 金賞受賞酒 720ml 3,500円(税抜き)
兵庫県姫路市広畑区本町3-583