富久錦「純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 無濾過直汲み」「純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 おりがらみ」30BY 兵庫県加西市

兵庫県加西市の純米蔵、富久錦さんの純青シリーズ。一昨年から生酛になった「純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 無濾過直汲み」「純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 おりがらみ」30BYの2本で、平成30酒造年度「純青サポーター」第1回頒布の新酒2本です。平成30年12月製造。
純青サポーター 10,000円(税別)年3回6本(720ml)頒布。

[Junsei Hyogo-yumenisiki Junmai-ginjo Muroka-jikagumi & Origarami ] Brewery:Fukunishiki Brewery, Hyogo pref, Kasai city, Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Hyogo-yumenishiki, Degree of rice polishing:60% , Pasteurize:no pasteurized ,Yeast:Kyokai No.901 ,Yeast starter:Kimoto method, Alc%:17%, Fragrance:apple ,Taste:fruity yet rich

今年は上槽と温度管理で進化

生酛となって3年目の純青シリーズの新米新酒生酒です。昨年に続き、加西市の豊倉町営農組合契約栽培の兵庫夢錦を60%精米した純米吟醸となっています。アルコール度は17度と原酒としてはやや低め。酵母は協会901号酵母。2本は同じ醪からしぼられたもので、醪は同じものながら、搾りから瓶詰めのプロセス・タイミングに変化をもたせることで、異なった個性のお酒を楽しもうという試みです。今回から上槽の機械と工程を変えることで、理想に向かうチャレンジを進めています。

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新酒蔵開きの「JUNMAI BAR」で無料試飲

シェイプされた姿 はっきりした味わい

新酒生酒にありがちな、よく言えば野性的、悪く言えば雑なところがない姿の整ったお酒です。結構豊なリンゴから青リンゴの香りが立ち上がります。まずは「純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 無濾過直汲み」ですが、口当たりからフレッシュでコクのある酸味を中心に甘味を伴って、シャープに突き抜けます。はっきりとした素直な味わいが旨味をつくります。一方の「純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 おりがらみ」は霞のかかった色合い。膨らみがあり、境界線もグラデーションがかかります。酸味と甘みがゆるやかに一体化します。いずれも微細な炭酸を伴い、後半まで舌には刺激が、のどにはほろ苦さが残ってキレに結びます。 昨年より甘味が抑制されて、姿がはっきりシェイプされているのは、「昨年より麹を固めに締めて、醪を長めにとった」ためでしょうか。上槽から保管まで温度管理を徹底して見直すなど、雑味のなさに様々な工程での丁寧さが表れています。生酛らしさというよりはこうした点が印象に残ります。

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醸造蔵の内部。酒母でしょうか?

マキノ製の気密性圧搾機導入と温度管理の精密化

毎年なんらかの変化にチャレンジするというものですが、生酛化という大きな変更から3年目で、どこに変化を求めるかも難しくなるのではないかと思っていました。 そこで今年の変化ですが、一つには蒸米を固めに締めるというものがあります。これによって麹の破精込みも変わることで、酒質にもかなり反映しています。もう一つは、上槽の機械の変更で、昨年までのヤブタから11月の末に「マキノ式搾り機」が導入されました。現行のヤブタが老朽化したことから入れ替えが必要になり、昨期から予告されていたものです。この機会にリサーチを重ねて、マキノ製の気密性圧搾機に落ち着いたようです。これに合わせて、搾り機を3℃設定の冷蔵庫のなかに設置しました。これによって「外気にできるだけ触れないよう、お酒の劣化を遅らせる炭酸ガスを閉じ込めたまましぼることに成功」したそうです。さらに-5℃のサーマルタンクで保存するという工程の進化を図っています。

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お酒に同封されたパンフレット、「炉火純青」

今年の兵庫夢錦は

原料米についてですが、兵庫夢錦は従来どおりの契約田で収穫されたものです。ところが、今年の夏は酷暑であったり、台風被害があったりと大荒れで、予定数量の80%しか納品されず、さらに割れ米や着色米の比率も高くなり、その除去に時間と労力が割かれることになったようです。自然に依存するので仕方ないことですが、なかなか厳しい酒造りとなるようです。

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