なぜだか3本続けて「雄町」の登場になっています。こちらは奈良県の人気蔵、梅乃宿酒造さんの「アンフィルタード・サケ備前雄町 純米大吟醸」28BYです。2017年4月製造の季節限定生原酒。4合瓶は発売早々に完売となっていますが、小売には残っている可能性はあります。
アンフィルタード・サケ備前雄町 純米大吟醸 720ml 1,750円(税別)
[Unfiltered Sake Bizen-Omachi Junmai-daiginjo] Brewery:Umenoyado Brewery Nara pref Katsuragi citySpecific designations:Junmai-daiginjo-shu, Variety of raw rice:Omachi, Degree of rice polishing:50% Pasteurize:No Yeast:Kyokai No.9 Line Yeast starter:Sokujo-moto method, Alc%:17% Fragrance:fruits, taste: clear,fruity and sweet
Unfiltered=無濾過で純米大吟醸を豊かに
アンフィルタードとはunfiltered、つまり無濾過という意味です。使用米は全量備前産雄町で、精米は50%です。酒母は速醸で酵母は協会9号系酵母。アルコール度は17度の生原酒ですが、9号酵母の原酒としては低めのアルコール度に秘密がありそうです。袋に詰めて酒槽で「やわらかく」搾った雫を集めたという贅沢なお酒ですが、この純米大吟醸でこのお値段は格安です。日本酒度は+4.7で、酸度は1.8となっています。
この蔵の独特のチャート(縦・華やか-落着き、横・伝統-革新)では「革新」に位置づけられています。アンフィルタード・サケシリーズには山田錦バージョンもあります。
熱帯の果実的甘みと酸がつくるなだらかな旨み
まず、やわらかい香りが立ち上がります。フルーティな中にも酢酸イソアミル系の甘い香りが勝った印象です。口に含んだ第一印象は熱帯の果実的な甘み。この甘みと綺麗な酸が合わさり、無濾過の複雑さも含んで、たっぷりと質感のある旨みになって広がります。後味を比較的長く残しながら、酸とほのかな苦味でキレていきます。尖ったところがなく、穏やかでなだらかな起伏が雄町らしいところでしょうか。圧力をかけない搾りもやわらかさを演出しているようです。
フレッシュな人たちののびやかな酒造り
葛城山系の東麓、奈良県の人気蔵が集まる酒造地域で最も北にある酒蔵です。蔵人さんだけでなく、蔵の方は若い方が多いようで、お酒のフレッシュさより人のフレッシュさが印象に残ります。明治26年(1893年)創業と比較的新しい蔵。機械化を進めず、高精白と手づくりを特徴としています。一方で新しい自由な発想の日本酒が生み出され、積極的に海外展開もされています。ホームページでは「日本酒を伝える幸せ」「梅乃宿の一員である誇り」というシリーズのブログが更新されていて、酒造りが「本当にすきなんだな」と思いますし、いろんな所で出会う営業の人たちも「この蔵が好きなんだ」と思います。