兵庫県丹波市の山名酒造さんの「奥丹波 木札」。季節限定で出荷される、人気の新酒で、純米吟醸の生原酒です。11月9日予約受付開始、12月21日に予約完売となり、12月24日に配送されました。「奥丹波」と焼き入れられた木の札は兵庫県立氷上特別支援学校で作られたもので、棕櫚縄で掛けられています。
奥丹波 木札 1.8ℓ 3,800円(税抜き)
12月という時期に出荷される山田錦の吟醸酒
このお酒は12月末に出荷される全量山田錦を使った純米吟醸酒です。山田錦を使ったこの時期のお酒で、この高い完成度に到達しているのが特徴。米は兵庫県産山田錦の60%精米。アルコール度は16度。日本酒度は予約開始時の目標値+2。酒母は速醸で酵母は明利酵母です。蒸米は甑和釜、上槽は槽搾り、仕込水は神池寺山伏流天然水、杜氏は青木卓夫(丹波杜氏)と瓶ラベルに表記されています。
10月中下旬収穫の晩成品種・山田錦ですが、今年度の兵庫県産は1週間ほど後倒しになりましたので、例年よりギリギリのタイミングになったと思います。
若々しくも、すべてに繊細な吟醸酒
青い果実のような清々しい香りは明利酵母らしさ。若々しくも繊細な味わいをゆっくり味わうタイプのお酒でしょう。まずは尖ったところがないクリアな甘味が広がります。一方、この季節に飲んだお酒と比較して酸味はとりわけ抑制され、きめ細かい滑らかさを感じます。辛味、苦みは味わいの周辺、舌の周辺にくっきりと感じ、これが品のよいキレ味に貢献して、ホロりとした心地よい締まりが後口に残ります。「明利小川酵母が醸すマスカットや青林檎のような芳香ときめ細かくなめらかな味わい」という蔵のフレーズのとおりです。澱下げも濾過もされています。澱下げは自然で無濾過のようです。「大晦日から小寒の一週間が最も美味しい飲み頃」となっています。年内に発売される新酒は発泡性があったり、荒々しいインパクトが売りになっている場合が多いですが、それとは一線を画す端正な純米吟醸酒です。
近年、いろいろと変化ある酒蔵
季刊の「酒蔵便り」
季刊の「酒蔵便り」は一昨年まで冊子でしたが、昨年からパンフレットを折り込んだもカラーのものになりました。酒造りの一般的な造り方の紹介とお酒の紹介という一般的な酒蔵のパンフレットとは一味違ったものになっています。
「地味に」フルーティ、端正なお酒
享保元年(1716年)創業。歴史はありますが、昨今、小売店や居酒屋などでもよく見るようになった印象があります。先ほどの「酒蔵便り」の発行や瓶のラベルの変更、ホームページのリニューアルなど、様々に変化しているようです。とは言っても、何か派手なことをするわけではありません。お酒の味わいも派手にフルーティではなく、「地味に」フルーティです。しばらく飲み続けてだんだん良くなてくるタイプです。私も世間的な評価がどうなっているかはわかりませんが、こちらのお酒は、お正月にのんびり味わうのに適しているお酒だと思っています。