橋本酒造場「俳聖芭蕉 大吟醸 金賞受賞酒」28BY 三重県伊賀市

三重県伊賀市の小さな酒蔵、橋本酒造場さんが平成28酒造年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞した大吟醸です。金賞受賞は平成25酒造年度以来で12回目になります。平成29年6月製造で、6月15日販売開始となりました。
俳聖芭蕉 大吟醸 金賞受賞酒 720ml 2,700円

[Haiseibasyo Daiginjo Gord prize of  Japan Sake Award 2017] Brewery:Hashimoto  Brewery Mie pref, Iga city, Specific designations:Daiginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:50%  Pasteurize:pasteurized  ,Yeast:Kyokai No.1501 ,Seed mash:sokujo-moto method, Alc%:17%  Fragrance:pear, Taste:fruity but clear

協会1501号酵母唯一の出品酒にして金賞受賞酒

6月には紫陽花の咲く、蔵の前の柘植川のほとり

使用米は三重県産山田錦で精米歩合は50%です。鑑評会出品酒は35~40%程度が多いので出品酒としてはかなり低精米になります。酒母は速醸で酵母はこの蔵こだわりの協会1501号(秋田流・花酵母)です。酒類総合研究所の「平成26酒造年度全国新酒鑑評会出品酒の分析」(平成27酒造年度は未発表)によると、1501号を使っているのは全国でこの蔵1件のみとなっています。アルコール度は17度。酸度は1.4と若干高め、アミノ酸度は0.8ですが、日本酒度は+4とこちらも高めの設定です。火入れは瓶燗です。

心地よい軽やかさと官能と

心地よい軽やかさが印象的です。上立香は少し甘やかな梨の香りが穏やかに広がります。口当たりは甘味が第一印象。透明感のあるやわらかな甘味が広がります。これに続いて舌先に感じる辛味と苦み、意外にしっかりとした酸が立ち上がり、甘味を包み消しながらキレて、官能的な後味を残します。単調な「淡麗」ではなく、密やかな艶のある味わいです。五味のバランスと言っては説明できない、錦の霞を纏った水墨画のような奥行きの深さを感じます。

五月雨の 降り残してや 光堂

ラベルに添えられた芭蕉の句

三重県伊賀市の柘植川沿いの大和街道に面する、ご夫婦で経営する小さな酒蔵です。蔵元である橋本勝誠さんが杜氏も兼ねられています。平成25酒造年度まで7年連続で11回の金賞受賞。この規模にして驚くような経歴ですが、平成26年、27年は選外に。酵母を変更しようかという迷いもあったようですが、再度、協会1501号で挑戦して12回目の受賞に輝きました。最近は香気成分の高いセルレニン耐性酵母が大半となっているなかで、穏やかさを本質に丁寧に丁寧に造ったであろうこのお酒が受賞酒となったことは、ほっと心温まるものがあります。また、金賞受賞酒をこの値段で売ってしまう欲の無さも、この蔵らしさでもあります。
こちらのお酒のラベルには種類ごとに芭蕉の句が添えられています。このお酒に添えられた句は「五月雨の 降り残してや 光堂」。金色堂のごとくまばゆい香味よりも、芭蕉が「降り残す五月雨」と表現した、古を思い慈しむ人の心に通じるお酒でしょうか。

三重県伊賀市御代1116

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