上原酒造「亀の尾 純米吟醸 龜龜覇 凛」10BY 滋賀県高島市

滋賀県高島市新旭町・上原酒造さんの古酒「亀の尾 純米吟醸 龜龜覇 凛」です。亀の尾を使った純米吟醸酒で、故・山根弘杜氏が平成10酒造年度に醸造したお酒。22年の歳月を経て2020年2月にボトリングされて蔵出しされたタイムトンネルを抜けてきた貴重な1本です。
亀の尾 純米吟醸 龜龜覇 凛 720ml 4,675円

[Kame-no-o junmai–ginjo-shu Kamekameha Rin] Brewery:Uehara  Brewery 、Shiga pref Takashima city ,Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Kame-no-o, Degree of rice polishing:53%  Pasteurize:pasteurized  ,Yeast:Kyokai No.7 ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:18%  Fragrance:nuts, Taste: sour and rich

亀の尾 22年熟成の古酒

秋田県産の亀の尾を使った「龜龜覇」シリーズの純米吟醸酒を長期熟成したお酒。精米歩合は53%です。酒母は速醸酛で酵母は協会7号酵母。アルコール度は18度で、日本酒度、酸度及びアミノ酸度は非公開となっています。平成10酒造年度(1997年7月~1998年6月)に醸造、火入れされたタンク貯蔵で、22年の歳月を経て蔵出しされました。しかし、この値段はとんでもなく安い。

熱燗まで芳醇な甘酸っぱい味わい

古酒らしいナッツの香りがしっかり立ち昇ります。冷蔵庫から出してすぐは、口当たりから粘りのある”とろみ”が印象的で、味わいははっきりした酸味が支配します。温度を上げていくと、とろみが後退して滑らかになると同時に甘酸っぱい芳醇な味わいが現れます。かなりの熱燗まで形が崩れることなく、甘酸っぱさが様々な変化の深みを見せます。22年の熟成としてはうるさい複雑さはなく、力強く厚みのある味わい。味わいが流れることなく舌の上にとどまるのは、亀の尾のような硬質な米の由縁でしょうか。それともこの米の持ち味を引き出した「龜龜覇」の特徴でしょうか。熟成らしい渋味でキレながら豊かな余韻を格別に残します。

10BYのタンクから毎年少しずつ

亀の尾を使った速醸酛の「龜龜覇」シリーズには純米吟醸の「吉(きち)」と純米大吟醸の「皇亀(すめらぎ)」がありましたが、最近は純米吟醸に「瞬」とか「山廃仕込」が加わっているようです。平成10酒造年度当時のラインナップはわかりませんし、精米歩合も変化しているようなので、どれの熟成かはわかりません。
この「龜龜覇」は最低でも1年の熟成期間は置いており、これは亀の尾は「味がなかなか出てこないので、1年以上寝かせる必要」があるというものです。きっちり仕上げてから蔵出しされるのは上原酒造さんらしいところですが、22年という長期熟成はさすがにほとんどないと思います。
この平成10酒造年度のお酒はタンク貯蔵されていて、このタンクから毎年少しずつボトリングして出荷しているそうで、それというのも、「そんなに売れる酒ではない。買う人は限られる」ということのようです。従って、タンクにはまだ残っており、今年分が売り切れても、来年にはさらに1年熟成の進んだお酒が登場するということになります。最後はいつまで行くのでしょうか。

故・山根杜氏が仕込んだお酒

ラベルには「杜氏 山根弘」と表示されています。思えば山根杜氏が亡くなられたのは平成26年(2014年)7月と記憶していますが、それからはや6年の月日が流れています。平成25酒造年度まで酒造りをされていたと思いますが、さらにその15年前、油の乗り切ったころの酒でしょうか。兵庫県村岡町(現・香美町)在住の但馬杜氏であり名杜氏として知られた存在でしたが、現・横坂杜氏への引継ぎはわずかに1シーズンほどの期間だったと聞いています。わずかな期間ながら、酵母無添加山廃をはじめとする従来の酒造りのみならず、夏場の米作りというサイクルも現杜氏に引き継がれ、上原酒造は新たな発展を遂げています。

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