江井ヶ嶋酒造「神鷹 大吟醸35 金賞受賞酒」29BY兵庫県明石市

兵庫県明石市西江井ヶ島にある総合酒造メーカー、江井ヶ嶋酒造さんが、平成29酒造年度全国新酒鑑評会で初の金賞を受賞した「神鷹 大吟醸35 金賞受賞酒」です。平成30年5月製造。1,200本限定販売。
神鷹 大吟醸35 金賞受賞酒 720ml 3,880円
[Kamitaka Daiginjo35 Gord prize of Japan Sake Award 2018] Brewery:Eigashima Brewery Hyogo pref, Akashi city, Specific designations:Daiginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:35% Pasteurize:pasteurized ,Yeast:Kyokai No.1801 ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:17% Fragrance:apple pear, Taste:fruety and dry

1801酵母 山田錦 35%

原料米は兵庫県三木市志染張町産山田錦を全量使用。精米歩合は35%です。酒母は速醸酛で酵母は協会1801号という、鑑評会出品酒として最もメジャーな組み合わせです。ただし、精米歩合に関しては38~40%が最も多くなっています。アルコール度は17度。日本酒度は+4、酸度1.3、アミノ酸度1.0となっています。

抑制された甘味と酸味がドライな印象

少し熟れたリンゴを感じる洗練された上立香、口中香がしっかりと香りますが、鑑評会出品酒としては多い方ではありません。まずは、透明感のある美しい口当たりが第一印象。続いて、口の中で温められるにつれて抑制された甘味と酸味が一体になって、立体的な旨みを膨らませます。甘味も酸味もくどくなく、苦味と辛味と合わさって次第に姿形をはっきりさせがらも、苦味を伴うキレが心地よく清澄な余韻を残す鑑評会金賞酒らしいお酒です。「+4」という日本酒度は出品酒としては高めの設定ですが、昨年に試したいくつかの1801酵母の金賞酒と比べてもドライな方向に振った印象を受けます。「華やかな香り、心地の良いキレ、山田錦のふくらや味わいを十分に堪能していただける杜氏入魂の逸品」となっています。

中村祐司杜氏、3年目の金賞

手前が大歳四番蔵、奥に大歳五番蔵、大歳六番蔵

江井ヶ嶋酒造は前年度の入賞に続いて、今年度は初の金賞受賞となりました。この実現には現杜氏の中村裕司氏が2016年1月に奈良県の今西酒造から移籍されたことがあり、実際に鑑評会をはじめ各賞にも名乗りをあげるようになりました。中村杜氏は兵庫県尼崎市出身、大学卒業後、別業種から新潟県長岡市の酒蔵で修行に入り、後に今西酒造さんに移って2年目、29歳の若さで杜氏となり、14年間を過ごします。現在46歳。
2017年4月にロンドンで行われたIWC2017(International Wine Charenge2017)SAKE部門の大吟醸の部で銀賞を受賞。2017年5月に平成28酒造年度全国新酒鑑評会入賞。2017年9月に行われた大阪国税局鑑評会(28BY)吟醸の部で優秀賞受賞と、着実にステップを進めてきました。

ブランド力を高めるために酒造りを大きく変える

蔵のすぐ裏には明石海峡の瀬戸内海

江井ヶ嶋酒造はこれまで10回上の出品歴がありますが、ここ3年間は「本気で金賞を狙うようになった」そうです。その理由には、「量産の『安い酒』が売れず」「品質の高い酒だけが売れる」現状があり、社のブランド力を高めるために酒造りを大きく変える必要があるというものでした。
歴史を辿ると、五代目ト部八右衛門の弟兵吉が明治21年に、地域の5つの酒蔵の賛同を得て江井ヶ嶋酒造㈱を設立したときより歴史がはじまりますが、元々、この地域は水と米に恵まれ、江戸時代から東の灘(五郷)に対して「西灘」と呼ばれる酒造業の盛んな地域でした。当時から経営や技術の革新には熱心だったようで、製瓶工場をつくりガラスの一升瓶を世に出したのもこの会社になります。
昭和50年代には「酒は神鷹、男は辛口」のキャッチコピーで有名になりますが、県内でも一般的知名度はさほど高くありません。もちろん業界内では知らない者のない存在で、今回の金賞受賞も「虎視眈々と狙ってはったんと違いますか」というお話も。

「大歳一番蔵」から「七番蔵」まで7つの蔵

ウイスキー蒸留所。夏場は杜氏・蔵人がウイスキー製造に従事

規模としても大きな酒蔵で「大歳一番蔵」から「七番蔵」まで7つの蔵を持っており、「大歳五番蔵」が清酒醸造蔵となっています。それ以外にも本社社屋の他、ウイスキー蒸留所、麦焼酎醸造所も明石市西江井ヶ島一帯に展開しています。また、山梨県にはシャルマンワインのワイナリーも持ち、東京営業所もあります。このため、出荷先では県内より東京都内の方が多いかも知れません。実際、ホームページの「当社のお酒が飲めるお店」掲載の店舗数は兵庫県内11店舗に対して、東京都内29店舗をはじめ、北海道でも5店舗となっています。

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