泉酒造「仙介 大吟醸原酒雫取り 金賞受賞酒」29BY 兵庫県神戸市

灘御影郷に蔵をもつ泉酒造さんが平成29酒造年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞した「仙介 大吟醸原酒雫取り 金賞受賞酒」が数量限定で発売されました。上槽は袋吊りと、出品酒と同じ手法を採用しています。平成30年6月製造。
仙介 大吟醸原酒雫取り 金賞受賞酒 720ml 5,400円

[Sensuke Daiginjo-shizukutori Gord prize of Japan Sake Award 2018] Brewery:Izumi Brewery Hyogo pref, Kobe city, Specific designations:Daiginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:35%  Pasteurize:pasteurized  ,Yeast:undisclosed ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:17-18%  Fragrance:apple, Taste:fruity and rich

-4℃で貯蔵 ゆっくり温度を戻して出荷

販売とともに試飲もできる事務所棟

契約農家で栽培された兵庫県産山田錦を全量使用。精米歩合は35%です。酒母は速醸酛で酵母は非公開となっています。出品酒ですので、もちろん原酒ということになります。アルコール度は17度以上18度未満で、日本酒度±0~+1.酸度は1.2でアミノ酸度は1.0と出品酒としても低い値になっています。ところで、このお酒は出品酒と同じく袋吊りで上槽、ボトリングの後、-4℃で貯蔵。注文が入ると水に漬けてゆっくり温度を戻し、和紙のラベルを貼って出荷するというもの。このため、直売所でも1時間ほどかかります。

美しいバランスと濃厚フルーティな甘味

開栓と同時に豊かな吟醸香が香り立ちます。この果実香が途切れることなく最後まで上品な飲み口を整えます。滑らかな口当たりから、クリアできめ細かな甘味とこれに合わせる果実的で雑味のない酸味が膨らみながら広がります。酸味は無理にかぶさることなく、滑らかに寄り添います。濃厚さを感じる味わいは、口中に長く留めてもくどくなることがありません。さらに、このバランスに優れた味わいの底から苦味がふつふつと湧いてきて、心地よいキレと透明感のある後味を残します。さすが金賞酒という美しいシルエットが印象的ですが、分類すると甘味が中心に座るタイプの金賞受賞酒となります。分類というのは、鑑評会製造技術研究会に出席したある県内の蔵元さんによると「今年の傾向は、味わいが甘い従来型のものと、スッキリとしたドライなタイプの二通りありました」というもので、この二通りの分類によるものです。なお、ホームページでは「袋から垂れ落ちる雫を一滴一滴斗瓶で取り、低温で熟成させることにより繊細でなめらかなあじわいを引き出し、フルーティーで贅沢な味わい」となっています。

自社製造復活、吟醸酒をメインに

かつて中庭にあったであろう稲荷社の祠が広い敷地にポツンと

泉酒造さんとしての古い受賞歴はよくわかりませんが、おそらくはじめての金賞受賞です。少なくとも、阪神大震災以降でははじめてで、現在の杜氏・蔵人さんの体制でははじめての受賞になります。和氣卓司杜氏は丹波杜氏組合所属。1995年1月の阪神淡路大震災で蔵設備は全焼し、以後12年間、自社での酒造りは休造(この間は縁戚の香川県・西野金陵さんで製造)になりますが、2007年1月に自社製造を復活し、その3年度に入社。当時、すでに市場では吟醸酒がメインストリームになっていましたが、泉酒造では造っていなかったそうで、現在につづく泉酒造の新しい酒造りとともにある方です。

和氣卓司杜氏「やっとって感じです」

現在のブランド「仙介」「琥泉」は吟醸酒メインのラインナップ。その意味では鑑評会の金賞は必然の流れであり、当然のように期待もされていたでしょう。それは和氣杜氏の「やっと💦って感じです!取りました「金賞」‼周囲からの毎年のようにプレッシャー💦正直、ほっとした気分です😅先ずは応援していただいた方々と一緒に酒造りをしてくれた蔵人に感謝です」というコメントに表れています。

直売所の事務所ではじっくり試飲

この金賞受賞酒発売後、すぐの6月はじめに一升瓶は売る切れ、4合瓶も残りわずかとなりました。人気のほどがわかります。また、このお酒の保管もそうですが、装丁も気合が入ったもの。外箱、桐箱、瓶と3箇所に「金賞受賞酒」の表示があります。注文から1時間かかるというお話をしましたが、心配はいりません。直売所になっている事務所ではじっくりと試飲できますし、近所には神戸酒心館や大黒正宗(事務所のみ)があり、13分歩けば白鶴酒造記念館もあるという立地です。
今や全国に展開し、売れに売れているブランドという印象ですが、従業員数13名で年間420石の製造量と設備の規模からするとかなり多くなります。そのため、9月には蔵入り(と言っても社員制ですが)し、甑倒しも6月になるという長期間に及ぶ醸造期間となっています。

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