兵庫県のまんなか、山田錦特A地区をもつ加東市の酒蔵、神結酒蔵さんの「神結 たましずく 純米吟醸生貯蔵酒」です。1年の貯蔵を経た2018年3月製造のお酒です。
神結 たましずく 純米吟醸生貯蔵酒 720ml 1,605円
1年貯蔵の生貯蔵 純米吟醸酒
兵庫県北播磨の地元JAみのり産山田錦を全量使用した純米吟醸酒です。精米歩合は60%で、酒母は速醸酛、酵母は協会9号となっています。日本酒度は+3、酸度1.6でアルコール度は15.5度です。濾過は十分にされているようです。名前のとおり生貯蔵酒で、1年の貯蔵期間を経て、瓶詰時に火入れされて出荷されています。
穏やかな広がりと静かな面持ち
鮮やかな吟醸香が香ります。クリアな口当たりで、甘味も酸味も抑制されたもの。流れるようにゆっくり広がりながら、比較的強めの苦味を感じつつ収束に向かいます。この苦味が後味に残りますが、料理とともにあるとちょうどよい具合に収まります。今どきのフルーティでジューシーな吟醸酒とは一線を画す、インパクトを求めない穏やかで静かな味わいが特徴のお酒です。蔵のおすすめは温度は5~10℃となっています。
山田錦特A地区を間近に臨む酒蔵
加古川の中流域、景勝地である「闘竜灘」に近い川沿いに蔵を構えます。加東市と言えば、旧東条町、旧社町の特A地区をもつ山田錦栽培の中心地で、毎年9月の最終日曜日には「山田錦乾杯まつり」が開かれ、加東市の山田錦を使っている東は宮城県から西は山口県に至る酒蔵が集まります。こちらの酒蔵は明治26年に創業しており、加東市では唯一の酒蔵となっています。一方、山田錦の中心地にあるものの、山田錦の確保は容易ではなく、毎年苦労されているというお話でした。
元々は但馬杜氏が酒造りを担っていましたが、高齢で引退した後、平成6年に南部杜氏・関口正俊氏が就任。その後、平成9年の全国新酒鑑評会で金賞受賞。最近では平成15、16、18、19、23酒造年度に金賞受賞となっています。現在も大吟醸に明利M310を使うのもこうした経過からのようです。関口氏の後、但馬杜氏にもどり、現在は社員杜氏制となって年間500石ほどの製造量となっています。
製造量の減少から新たな商品開発に取り組む
かつての製造量に比べればかなり減って、二本を備える普通酒用の大型のタンクも、現在はフルに使われることはなく、「底の方だけ」使っているそうです。その分、純米大吟醸から本醸造に至る高級酒の生産にシフトしています。
一方で「酒米を蒸す技術」と「こうじ米を作る技術」を使って、甘酒をスウィーツ感覚で楽しんでもらうというコンセプトの「麹スウィーツ Poudre(プドレ)」という商品を開発し、「神戸セレクション」や「五つ星ひょうご選定商品カタログ」に載るなど話題になっています。