大関「超特選 大坂屋長兵衛 金賞受賞酒 大吟醸酒」28BY 兵庫県西宮市

灘五郷の東端、西宮市の今津郷で実質唯一の醸造蔵である、大関さんが平成28酒造年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞した「超特選 大坂屋長兵衛 金賞受賞酒 大吟醸酒」です。平成29年7月製造。

超特選 大坂屋長兵衛 金賞受賞酒 大吟醸酒 720ml 5,400円

[Osakaya-Choubee Daiginjo Gord prize of Japan Sake Award 2017] Brewery:Ozeki  Brewery Hyogo pref, Nishinomiya city, Specific designations:Daiginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:35%  Pasteurize:pasteurized  ,Yeast:unknown ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:16-17%  Fragrance:apple   Taste:fruity

レギュラーの大坂屋長兵衛とは別物

レギュラーのラインナップにも大吟醸「大坂屋長兵衛」はありますが、それとは別物のお酒です。原料米は兵庫県特A地区産の山田錦。精米は35%です。仕込水は宮水。酒母は速醸で、酵母はセルレニン耐性酵母だと思いますが、非公開です。アルコール度は16度以上17度未満。日本酒度は+2となっています。酸度とアミノ酸度は発表されていません。もちろん火入れはされています。

果実的味わいのゆっくりした広がり

大関の宮水井戸場

開栓すると鮮やかな吟醸香、含み香でさらにボリュームのあるカプロン酸エチル系のリンゴの香りが立ち上ります。口に含んだ第一印象は”プルン”とした滑らかさ。急いで味に転化せず、しばらく舌先をとろりと包んで流れないのが不思議なところ。しかし、これはレギュラーの大坂屋長兵衛の感覚を思い出させます。「別物」とは書きましたが、確かに大関らしさを留めています。一呼吸、いや二呼吸遅れて、口の奥に広がる爽やかながらも十分な濃厚さを持った甘味と酸味がフルーティな味わいをいっぱいに膨らませます。このふくらみの外側を走る辛味と苦みが端正なプロポーションに収めて、まとまりのあるキレに結んで行きます。雑味ない旨味の洗練を美しく表現した、「さすが」と言うほかはないお酒です。

これは速醸だが、「酵母仕込み」の大関

平成28酒造年度全国新酒鑑評会では出品した恒和蔵と寿蔵の2蔵とも金賞受賞。金賞は14年連続、恒和蔵は毎年金賞ですが、寿蔵は入賞か選外が多いように思います。なお、寿蔵は主として高級酒を醸造しており、恒和蔵はワンカップなどの普通酒を醸造する大規模工場です。トップの写真が寿蔵です。
出品酒は速醸ですが、大関と言えば「酵母仕込み」の印象があります。多くの蔵では酒母省略の酵母仕込みは経済酒に用いる方法で、そういう位置づけのようですが、大関では新ブランド「醴」でも酵母仕込みの手法が応用されるなど、技術の蓄積と思い入れのある手法のようです。

伝統ある灘の大手蔵 足場の変化も

正徳元年(1711年)に初代大坂屋長兵衛が今津村で創業。創業家である長部家が代々経営しています。昭和39年(1964年)に「ワンカップ大関」を開発して大ヒットとなり、現在も主力商品です。現在はもちろん社員杜氏ですが、代々丹波杜氏の系譜にあります。「大坂屋長兵衛」は1986年に当時の級別で2級酒として発売。出荷量では白鶴、月桂冠に次ぐ3位でしたが、最近は減少傾向が強く、3年前のデータでは白鶴、松竹梅(宝酒造)、月桂冠、世界鷹小山本家グループに次ぐ5位あたりまで下がっています。このあたりは、普通酒の消費の下降傾向のために、普通酒を主力とするメーカーの出荷量が下がっているためと思います。もっとも、もらったパンフレットの紙面の半分は化粧品のページになっていますので、これからはそちらの方向になるのかと思ったりします。

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