はりま酒文化ツーリズム協議会提唱の酒、「庭酒(にわざけ、にわき」です。米を使った酒の最古の記録、播磨国風土記から再現を試みたお酒です。(2015/3/2作成の記事)
特徴 庭酒を再現した自然酵母の一段仕込み
このお酒は米を使った酒の最古の記録、播磨国風土記の「大神の御粮(みかれい)沾(ぬ)れてかび生えき すなわち酒を醸さしめて 庭酒(にわき)を献(たてまつ)りて宴 (うたげ)しき」という複発酵を示唆する一説から、この酒を復活したものです。
特徴は、酵母は庭田神社(宍粟市一宮町)で採取した自然酵母。仕込みは1段。麹割合は30%程度と聞きました。この提唱に応えた6つの酒蔵が醸造していますが、酒米は蔵ごとの選択で精米は90%。生酛か山廃の造りだそうです。1段で麹歩合30%だと相当な掛米を一気に投入するのは管理が難しそうです。汲水歩合は不明ですが、極端に少ないものではなさそうです。
印象-原始的ではないアレンジ
味は90%精米にしては、きれいな酒質で色も茶色というよりは少し色づいた
黄金色程度。以前に滋賀県の蔵元が試験的につくった90%精米を頂いたことがありますが、比較すると、はるかにおとなしい感じでした。もちろん甘み、酸味、苦味、渋みは強く出ますが、甘み・酸味が支配的です。いずれにせ予想よりかなり現代的なもので、原始的なものを期待するとハズレかも知れません。試飲したのは2015年2月27日に開催された「はりま酒文化伝道師養成講座」で、姫路市の田中酒造さんの「庭酒」を、引き続いて開かれた「はりま一合一会」で壺坂酒造さん醸造の「庭酒」でした。
庭酒の開発には兵庫県立工業技術センターも協力。担当された女性研究員さんによると、自然酵母の採取は2年連続となるそうですが、「自然酵母の安定」が困難な課題だそうで、日程がタイトだったので「もう少し時間があれば」とおっしゃってました。
また、「御粮」とは「干し飯」、つまり生米を蒸すなりして水分と熱を加えることでα化し、一定の水分を残しながら乾燥させたものと考えますが、今回の「庭酒」は蒸米をそのまま使用したとのことでした。
播磨酒文化伝道師養成講座
今回参加した「はりま酒文化伝道師養成講座(姫路市、姫路酒造組合主催)では、山田錦のお話を聴きました。性質や生産地、特に特A地区の土壌の特性などが中心でした。
「はりま酒文化伝道師」の認定証とピンバッチをいただきました。まあ、試験があるわけではないし、これで「伝道」ができるかというと心許ないですが。しかし、姫路税務署管内の日本酒の出荷量は増えているそうで、こうした努力が実を結んでいるようです。播磨国風土記の記載から「日本酒のふるさと」を称しています。「発祥の地」と書いたマスコミもあるようですが、それは言い過ぎ!今更、発祥地論争に参戦することもないでしょう。特徴のある酒づくりを進めていただき、応援もしたいです。