三宅彦右衛門酒造「早瀬浦 純米吟醸」29BY 福井県美浜町

福井県の若狭地方、三方五胡の久々子湖と若狭湾に面する半島にある三宅彦右衛門酒造さんのレギュラーラインナップ、「早瀬浦 純米吟醸」です。平成30年(2018年)7月製造の火入れです。
早瀬浦 純米吟醸 720ml 2,376円

[Hayaseura Junmaiginjo] Brewery:Miyake-hikoemon syuzo, Fukui pref, Mihama, Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Yamada-nishiki, Degree of rice polishing:50% Pasteurize:pasteurize , Yeast:undisclosed, Yeast starter:sokujo-moto-method, Alc%:16%, Fragrance:apple, Taste:fluity

旺盛な発酵をコントロールする酒造り

ミネラルたっぷりの水を産する蔵内の井戸

三宅彦右衛門酒造の代表的お酒。原料米は兵庫県産の山田錦で精米は50%です。酒母は速醸酛で酵母は不明です。アルコール度は16度、酸度は1.4となっています。仕込み水は蔵内の井戸から汲まれたもの。後背の山から降りてくる水と前面には若狭湾というミネラルがたっぷり含まれた硬水。このため、発酵が旺盛に進むので、「発酵を抑えてコントロールする」という酒造りと伺いました。

端正な酸と滑らかな甘味に海辺の風景が広がる

端正に整った酸。鋭角でありながら、軽やかさも感じる酸味が静かに広がります。香りは正調なリンゴ系の吟醸香が穏やかに香り、ほのかに香木のような香りが寄り添います。味わいの中心を貫く酸味のベースには抑制された甘味があります。滑らかな美しさを感じる甘味で、これらが重なり合って、輪郭の整ったフルーティな旨味を作り出します。ほのかな苦味と辛味を伴ってキレますが、最後まで崩れることのない品格と美しい姿を見せてくれます。過剰なところが無く、美しい海辺の風景のように広がる早瀬浦らしさが詰められた逸品です。

「早瀬浦」ブランドに切替えて飛躍

蔵の位置する早瀬の港

今や福井県を代表するような人気蔵ですが、酒づくりが大きく変化したのは現在の蔵元杜氏さんが就任してから。それまでは能登杜氏さんが来られており、現在も能登杜氏組合に所属されているようです。現在の12代目三宅範彦さんは東京農大出身。卒業後に戻ってこられましたが、それまでは「澤の井」ブランドで普通酒のみの製造だったのを、新たに「早瀬浦」ブランドに切替えて吟醸酒など特定名称酒中心に転換します。
時代的にもこれは時宜を得た判断だったのでしょう。現在は全国的に知られた名前となっています。多分、東京の方がよく出ているのでしょうか。関西ではまだまだこれからメジャーになっていくように思われます。

1升瓶が基本なのは漁師町だから?

伝統食の鯖の「へしこ」。吟醸酒向きではないですが、このお酒ならいけるかも。

以前は1升瓶が多く、酒類によっては1升瓶しかなかったものがありました。この「純米吟醸」も以前は1升瓶で購入した記憶があります。現在も1升瓶が基本だと思いますが、4合瓶のラインナップも増えてきたようです。このあたりは、酒蔵さんの考えしだいで、1升瓶ばかりのラインナップのところもあり、「4合では少なすぎる」「十分に味わってもらうためには1升ぐらいは」というところもあります。こちらは、漁師町という地域柄なので、酒質においても「より量が飲める」という特性が求められているのかも知れません。

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