堺泉酒造「千利休 純米吟醸」28BY 大阪府堺市

堺に酒造業を復活しようと2014年に創業された堺泉酒造さんの「千利休 純米吟醸」です。平成30年1月製造です。
千利休 純米吟醸 720ml 2,500円

[Sen-no-rikyu junmai-ginjo] Brewery:Sakai-izumi Brewery Osaka pref ,Sakai city, Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:55% Pasteurize:pasteurized ,Yeast:Kyokai No.901 ,Yeast starter:sokujo-moto-method, Alc%:16% Fragrance:banana, Taste: clear and sweet

山田錦のスタンダードな純米吟醸

原料米は兵庫県産山田錦で精米歩合は55%です。酒母は速醸で酵母は協会901号酵母というスタンダードな純米吟醸酒です。酒造用水は水道水。アルコール度は16度です。上槽はヤブタで火入れは2回行われ、6か月以上の熟成期間を経て蔵出しするお酒となります。

綺麗でおだやかな透明感

29BYの小仕込みの醪タンク

イソアミル系の穏やかな香りが漂います。クリアな透明感の口当たり。前半はゆっくりとやわらかな甘味が流れます。後半には酸味と渋味、弱い苦味が出てくることで、キレと後口が治まります。開栓初日は口当たりに甘味を感じましたが、後にはゆるやかになったのは酸味の出現の効果でしょうか。温度はひや(常温)で。冷やしすぎるのはよくなさそうです。全体として綺麗でまとまりのよいお酒。昨今の吟醸酒のトレンドと異なり、強く主張する偏りを作らずに、バランスよく仕上っているのは、「のみやすいお酒をつくりたい」というこの蔵のコンセプトどおりです。

堺に酒蔵復活の挑戦

室町時代に堺酒として発展し、江戸時代には江戸積みの酒で興隆し、明治期には95軒もの酒蔵を構えた代表的な酒造地域であった堺市では、昭和41年を最後に酒蔵がなくなっていました。これを復活せんと、10年余りの準備期間を経て平成26年(2014年)に酒造免許を取得し、堺市内での酒造りを開始したものです。

蔵の近くにある千利休住居跡

平成15年から酒造業再興プロジェクト

堺の酒造業再興プロジェクトは、平成15年に室町時代から伝わる名泉、開口神社内「金龍井」の水を使った酒造業の復活を目標に、まちづくり団体「大小路界隈「夢」倶楽部」でスタートしました。平成16年に「千利休」を商標登録。翌年から泉佐野市の北庄司酒造で仕込みを開始し、「夢衆」をブランドとしました。この間、他の蔵での醸造を続けながら、平成25年には京都の東山酒造とのコラボで「千利休」を発売。平成26年に灘・御影で休造していた泉勇之介商店から酒造免許の移譲を受けることで自家醸造の準備が整いました。

平成28年現在地に移転

南海電鉄堺駅に近い蔵付近の風景。海に繋がる運河がある。

当初、堺東駅前の旧料亭「備徳(びんとく)」の建物の一部を借り受けて自蔵での製造を開始。販売も好調で、平成28年に製造量拡大のため、南海電鉄堺駅前の現在地に移転しました。
自蔵での製造開始当初は200㎏タンク10本の仕込みでしたが、平成29年には400㎏タンク18本の仕込みとなり、約15,300ℓを醸造する規模に発展しています。現在地への移転に合わせて、新しい蔵での酒造りという挑戦に応じた三重、奈良、兵庫で経験を積んだ若手杜氏蔵人3人が西條社長の元で酒造りに当たるという体制になっています。

現在の酒造り

原料米は全量山田錦で精米は委託精米。酒母は全量速醸酛で、酵母はすべて協会酵母、701号、901号、1801号が使われています。酒造用水は当初目標としていた「金龍井」の井戸水の使用はさすがに困難で、水道水の使用となっています。現在は「純米酒」「本醸造酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」と、まだ、少ないラインナップとなっていますが、純米大吟醸には八段仕込み「酣楽酒」(720ml 8,000円)という特殊なお酒もあります。今後は自社酵母の育成に取り組みたいと、さらには、現在地が元食品工場で、温度管理可能な設備であることから、年間醸造も行いたいと、今後の展開に期待できる、真新しい酒蔵です。

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