白杉酒造「特別純米酒 BLACK SWAN」28BY 京都府京丹後市

京都府の丹後半島にあってテロワールにこだわった酒造りをすすめる白杉酒造さんが、28酒造年度に新たに取り組んだ、黒麹を使ったお酒「特別純米酒 BLACK SWAN」です。28年8月製造。無濾過の原酒で瓶燗による火入れのお酒です。

特別純米酒 BLACK SWAN 720ml 1,620円

[BLACK SWAN Tokubetsu Junmai] Brewery:Shirasugi  Brewery, Kyoto pref, Kyotango city
Specific designations:Tokubetu-Junmai-shu, Variety of raw rice:Milky queen , Degree of rice polishing:60%  Pasteurize:pasteurized  ,Yeast:unknown ,Yeast starter:Sokujo-moto method, Alc%:16.5%  Fragrance: orange , Taste:sweet and tangy

ミルキークイーンと黒麹を使った特別なお酒

蔵元杜氏・白杉悟氏がかねてより温めていたミルキークイーンの使用と黒麹の使用という発想を一度に投入したお酒。飯米である丹後産ミルキークイーンの60%精米を全量使用。麹は黒麹菌(Aspergillus luchuensis)、酒母は速醸で酵母は非公開。醪は(結果的には)4段仕込みで、上槽はヤブタです。アルコール度は16度以上17度未満、日本酒度は-15、酸度3.8、アミノ酸度2.0となっています。

甘味と酸がつくる濃醇な旨みと締りのよいキレ

上立香はごくほのか。口中香で「柑橘系の果実の香り」という吟醸香にはない甘酸っぱい香りをわずかに感じます。これは黒麹が生産するクエン酸によるものでしょう。口に含んだ第一印象はボリュームのある甘味。これと双璧となる強い酸味です。甘みだけだと「だるく」なり、酸味だけだと薄っぺらくなりますが、うまく(溶け合うではなく)組み合わさって濃醇な旨みに昇華しています。この甘味も貴醸酒や汲水歩合の小さい酒にあるような重い濃厚さと比較すると軽快な印象を受けます。後味もパッと消えるようなものではありませんが、締りのよい爽やかなキレと余韻がなかなかの鮮やかさです。

いろいろな手法を試してできあがった新作

ラベルにはさまざまな特徴が表示

ミルキークイーンは低アミロース品種で「もちもちした食感」というのが特徴の飯米。酒米として使われることはありますが、稀です。こうした特徴から外硬内軟という一般的な麹米の適性からは外れそうですが、「顔の見える地元生産者の米」「食べておいしい米は酒を造ってもおいしいはず」ということで、地元産コシヒカリやササニシキを使ったの酒造りに特化している方針からは、これも必然なのでしょう。
また、黒麹菌は通常使われる黄麹菌(Aspergillus oryzae)に比べて、クエン酸生産が多く、デンプン糖化力に優れているという特性が知られています。ただ、黒麹菌の黒色の胞子は蔵を汚してたいへんだろうと思いましたが、実際の製麹工程では胞子を飛ばすことは少なく、通常の麹室で作るそうです。もちろん、シーズン最後の製麹にはなるそうです。白麹菌を使った日本酒はままありますが、黒麹菌は珍しい。
こうした米と麹の特性がこのお酒の酸と甘味の特徴を作り出しているのでしょう。さらに、醪では「踊り」の品温を高く設定し、「狂気なまでに踊り狂わせました」とラベルに表記されています。それでは、糖化は進むでしょう。さらに、当初の設計では日本酒度-20だったそうで、そこまでの到達が危ぶまれたため、4段目を投入したとのこと。結果、-15で発酵が止まったため、「これ以上引っ張っても酵母が死滅するだけ」と判断して上槽したそうです。はじめての試みにはいろんなドラマがあります。

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