神戸酒心館「蔵直採り生酒 純米酒」28BY 兵庫県神戸市

_灘五郷のうち御影郷に蔵を構える神戸酒心館の直売所、東明蔵で販売される量り売りの「蔵直採り生酒」のうち、純米酒です。平成28年1月製造。雑味のない形のはっきりしたお酒です。

Kobe Syusinkan is a sake brewery located in Mikage Go, Kobe city. The direct sales place here sells several kinds of raw liquor with “weight sale”. This raw liquor is easily damaged and transportation is difficult. Therefore, the brewery sells it face-to-face. In this “Junmaisyu” (sake made without added alcohol or sugar), the aroma is low, it is a simple combination of taste, dry and sharp taste.

印象 水墨画のような存在感

_蔵全体としては華やかな吟醸酒を造る印象がありますが、この酒は一転して水墨画のように濃淡のみで味わいを表現するイメージです。上立香はほんのわずかな麹香。含み香もほのかです。味わいの核となるのは甘みと酸味ですが、いずれも低く抑えられたもので、辛味や苦みが表に立ってきます。それぞれが雑味を伴わずにストレートに融合して旨みをつくりますが、骨格や輪郭がはっきりしている一方、色彩は抑えられています。しぼりたての生酒のフレッシュ感はいっぱいですが、フルーティ感はありません。いろんな飾りを取り払った日本酒の土台は「こうであったか」と再確認させられまるお酒です。

特徴 目の前で手作業で瓶詰めされる生酒

蔵ショップやレストラン入口の長屋門

_蔵の直売所である東明蔵の一角にテイスティング兼量り売りのコーナーがあり、4種類の生酒を試飲して購入することができます。種類は時々で変更されるので、一定ではありません。注文すると目の前で保冷タンクから柄杓で汲み出して漏斗で瓶詰めされ、ゴム栓が木槌で打ち込まれます。「必ず冷蔵庫で保管し、10日以内に飲んでください」というものです。
_今回の「純米酒」は麹米は山田錦の70%精米。掛米は県産米の同じく70%精米ということで、兵庫夢錦か兵庫北錦でしょう。酒母は高温糖化酛ですが、酵母は協会701号あたりと思われます。色沢は清澄な透明で、澱引きや濾過はされているようですが、加水調整はされておらず、アルコール度は18度です。他の3種は「大吟醸にごり」「大吟醸」「吟醸」でしたので、そちらの方がこちらの蔵の特徴が表れているようです。好き嫌いは別にして、五味の輪郭にぼやけたところがないのは高温糖化酛の特徴かも知れません。

震災後、モダンな酒蔵に変身

福壽蔵の貯蔵タンク群

_宝暦元年(1751年)創業。阪神大震災で木造蔵は全滅。長屋門だけが往時の雰囲気を伝えています。現在も主要ブランドである「福壽」の名で知られていましたが、震災後の平成7年に㈱神戸酒心館に。震災を機に大きく変化を遂げたのではないでしょうか。現在は9名が製造を担いますが、前任の但馬杜氏が引退後に全員が社員杜氏・蔵人になり、これを機に高温糖化酛を導入。酒造期間は9月から6月で、「酒心館 壱」など一部生酛を除き高温糖化酛で年間2,000石を製造。麹は全量手作業で製麹。酵母は協会701号、901号、1801号などを使うようです。宮水井戸を持ち、神戸市北区大沢地区の契約田(地区)で山田錦を育成しています。
_ノーベル賞晩餐会提供酒という話は置いても、平成26、27酒造年度全国新酒鑑評会金賞受賞のほか、IWCや海外のコンテストの入賞の常連になるなど、積極的に海外展開もされているようです。
蔵直採り生酒 純米酒 720ml 1,620円 他に瓶代108円、瓶は自分で洗って通い瓶にすることで無料に。
神戸市東灘区御影塚町1丁目8-17

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