大石酒造「美山てんごり 生酛 本醸造」30BY 京都府南丹市

京都府亀岡市で創業し、平成26年(2014年)に「かやぶきの里」として著名な南丹市美山町に醸造蔵を設立した大石酒造さんの「美山てんごり 生酛 本醸造」です。代表ブランドは「翁鶴(おきなづる)ですが、このお酒はこ売れ行き好調の代表酒となっています。上槽から1年を経過して2020年3月の製造となっています。
美山てんごり 生酛 本醸造 720ml 1,400円

[Miyama-tengori kimoto-honjozo-shu] Brewery:Ohishi brewery, Kyoto pref, Nantan city, Specific designations:Honjozo-shu, Variety of raw rice:Gohyakumangoku, Degree of rice polishing:70% Pasteurize:pasteurized ,Yeast:no disclosed ,Yeast starter:kimoto method, Alc%:16-17% Fragrance:apple ,Taste:rich

農地の真ん中に建つ美山蔵の周りでは五百万石が自家栽培されています。

自家栽培の五百万石を丹波流生酛で

新しく設立した美山蔵で醸造し、その名を冠した本醸造酒です。使用米は美山蔵の周りで栽培した五百万石を100%使用、精米歩合は70%です。酒母は倉垣時弘杜氏が率いる丹波杜氏伝統の生酛造りで、酵母は種々の協会もしくは協会系酵母です。醸造アルコール添加の本醸造で平成30酒造年度に醸造・上槽、火入れし、2020年3月の製造となっています。アルコール度はラベル表示16-17度、HP表示は16.3度となっています。日本酒度はHP表示で-1です。
ところで、現場で歌われることの無くなった酒造り唄ですが、こちらでは杜氏さんの方針で実際に歌うそうです。「目出度目出度の若松様よ 枝が栄えて葉も繁る 枝が栄えてお庭が暗い 暗きゃおろしゃれ一の枝・・」という丹波流の酛摺り唄を歌いながらの作業を見学してみたいものです。

生酛の酛摺りをはじめ、作業中は丹波流酒造り唄を歌うのは、伝統を残したいという杜氏さんの方針。

生酛らしい酸と濃醇な味わいを”燗”で楽しむ

濃醇な味わいを基本に本醸造らしい”軽み”が少し加わった、味わって呑むにも量を飲むにも適した幅のあるお酒です。吟醸酒ではありませんが、香りや飲み口は綺麗に整えられています。口に含んだ第一感は生酛らしい滑らかで太い酸味、乳酸的な酸味です。ひやでは米の旨味とともに”とろり”と舌回りをめぐります。燗にすると”さらり”と流れながらも、酸味の骨格は崩れることなく姿を保ちます。最後まで姿の良い酸を味わいながら穏やかなキレに結びます。「生酛らしさ」を、そして燗の旨さを堪能するお酒となっています。

水も米も美山の自然の中で

「てんごり」とは美山方言で「屋根の葺き替等をみんなで協力して行う作業」だそうで、ラベルの絵も茅葺屋根の葺き替え作業の様子となっています。美山町は平成の市町村合併で「南丹市」となりましたが、「かやぶきの里」として茅葺屋根の家屋が数多く保存され、美しい里山に多くの観光客も訪れています。由良川の源流となる美山川の清流があり、さらに遡ると京都大学農学部演習林として原生林を保存している「芦生の森」があります。
新蔵に美山の地を選んだのも、よい水を得ることができるという酒蔵としての条件をクリアできることが第一ですが、さらに新藏の周囲の「まさにこの蔵の裏にある」田圃で酒米を作ることができるというのも大きなメリットとなっています。また、十分な敷地を得たことで広い販売スペースや観光バスも余裕の駐車場が用意されています。新蔵ですが、設備は前蔵から移転したもので、最新というものではありません。

「かやぶきの里」の茅葺屋根の集合地。現に住まわれている家もたくさんあります。

創業地・亀岡にも「丹波路・酒の館」

大石酒造は元禄年間(1688-1704年)に現在の京都府亀岡市で創業。大正時代には「金星」、昭和30年には「翁鶴」のブランド名を立ち上げ、東京や名古屋などに販路を拡大。昭和64年に「丹波路・酒の館」を、平成7年には特産品・茶房「酒喜庵」を開店するなど、亀岡での観光展開をはかります。しかし、建物の老朽化が進むなかで、手狭となった施設での改築などに限界があることから、50キロほど離れた美山町南新高瀬に新蔵「美山蔵」を建設し、醸造設備も移転しています。旧地にある本蔵にはボトリング設備と「酒の館」や「酒喜庵」が残っています。

亀岡市の本蔵敷地には「酒の蔵」「酒喜庵」などが残り、販売や試飲もできます。

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