大門酒造「純米大吟醸 DAIMON Crisp」28BY 大阪府交野市

京都と大阪の間、生駒山系の麓にある大門酒造さんの「純米大吟醸 DAIMON Crisp」です。Crispとは新鮮な、さわやかなという意味で、「爽快」というセカンドネームが与えられています。メインブランドは「利休梅」ですが、「DAIMON」ブランドを立ち上げ、新たな酒造りを展開されています。平成29年12月製造と10か月ほどの熟成期間があります。
純米大吟醸 DAIMON Crisp 720ml 2,856円

[DAIMON Crisp] Brewery:DAIMON Brewery Osaka pref ,Katano city, Specific designations:Junmai-daiginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:45%  Pasteurize:pasteurized ,Yeast:Kyokai No.9 ,Yeast starter:sokujo-moto-method, Alc%:18%  Fragrance:apple, Taste: sour and dry

トレンドではない革新の道を進む

醪のサーマルタンク

随所にモダンな雰囲気の酒蔵ですが、酒質は現在のトレンドに乗ったものではなく、「独自性のある酒を造りたい」と、これを外したところに価値を見出して展開するのが特徴です。
このお酒は全量兵庫県産山田錦を使ったもので、精米歩合は45%。酒母は速醸で酵母は協会901号です。アルコール度は18度、酸度は2.5以上、アミノ酸度は1.0以上と酸度が高めのスペックになっています。火入れはされています。DAIMONシリーズには精米35%の純米大吟醸「UMAMI」と精米55%の純米吟醸「Mellow」がありますが、それぞれ異なった個性を表現しています。

“酸”に個性が際立つ純米大吟醸

美しい琥珀色の色づき

フルーティですが、甘味で飲むお酒ではありません。甘味は抑制されて「八朔」のような果実感を感じます。オンラインショップでの紹介は「口の中に広がる清涼感。酸味の中に上品な甘味を感じさせる爽やかな純米大吟醸」です。
まずは落ち着いたものながら、しっかりした吟醸香が立ち上がります。口に入った第一印象は甘味と酸味が合わさった柑橘類のような味わい。総じてドライと言えるお酒で、甘味は酸味に厚みと幅をもたらすためのもの。前半の濃醇な味わいに寄与した後、すぐに後背に退いて、酸味が口中いっぱいに広がります。雑味を感じることなく渋味と苦味がしっかりと後口を締めます。酸味は一般的にリンゴ酸とコハク酸が中心になりますが、これはクエン酸的な酸味を感じます。白麹や黒麹のような糖化力が強い麹ではクエン酸が多く生産されますが、このお酒は通常の黄麹なので、しっかりと老ね気味に作られ、さらに、汲水歩合も詰め気味に造られた由縁でしょうか。料理の相性は「シチュー、ハンバーグ、ハーブやスパイスなどでしっかりと味付けされた料理、麻婆豆腐・青椒肉絲などの中華料理に良く冷やして」となっています。

伝統の技に数値化と分析管理を精緻に施す

蔵元杜氏から30代の社員杜氏にバトンタッチして、3.5人の少人数で酒造りを行っています。酒造りは伝統的な技法の上に数値化と分析管理を精緻に施すなかで、低温長期発酵の吟醸酒を中心とした高級酒に特化した方向にあるようです。精米は委託ですが、10キロごとに洗米を丁寧に施して限定吸水。蒸米は甑で行い、製麹は手作業と機械製麹の併用で、酒母は速醸酛。醪はサーマルタンクと開放タンクがあり、1週間で1本のタンクに600キロから800キロ総米という小仕込みで、冬季の季節醸造を行っています。

今、変化の中に 毎年新しいチャレンジとお酒が登場

大都市近郊でも自然の残る後背の山並

文政9年(1826年)に、清少納言が枕草子で「野はかた野」とそのたおやかな風情を讃えた交野が原「むくね村」で半左衛門喜之が創業。地理的に中世からの酒造技術が受け継がれた地域で、近郷の良質米、摂津や生駒山系から良質の水も得られる酒造好適地となっています。現在も京都、大阪の大都市の近郊住宅地にありながら、豊かな自然が残っています。
その中で「濃淳辛口」をキーワードとして、「米の旨みをたっぷりと感じられ、爽快な酸味に裏打ちされたボディのある酒」をコンセプトにしています。
一方で、近年はいくつかの転機があるようです。元のブランド名は「菊養老」ですが、吟醸時代を迎えて「利休梅」ブランドを立ち上げ、この名で知られるようになりました。1998年からは輸出の試みに取り組んで、MUKUNEブランドからDAIMONブランドに展開。これも毎年、新しいチャレンジと新しいお酒が登場し、まだまだ変化の途上にあるようです。

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