2016/7/10投稿記事 兵庫県朝来市の此の友酒造さんの「大吟醸 但馬 金賞受賞酒」です。平成27酒造年度全国新酒鑑評会で3年連続となる金賞を受賞したお酒。H28年6月製造です。
特徴 1801号の金賞受賞酒
このお酒は全量兵庫県産山田錦を使用。精米は38%、アルコール度は16度です。日本酒度は+3.5とホームページ紹介されています。酵母はきょうかい1801号だと思いますが、ある酒販店さんから側聞したところでも、そのようでした。こちらは木箱入りで販売されていますが、蓋を開けるとリンゴ様の果実香がふわりと漂い、期待を膨らませます。実際の上立香も「予想したほど」ではないものの、ちょうどいい上品な具合に香ります。
印象 くどさがなく、質感あり
お味は1801らしいフルーティな甘みがたっぷりながらも苦みを伴って、心地よく膨らんでくれます。旨みと酸味のセットも若干遠慮がちに広がります。くどさがなく、金賞受賞酒らしい質感があり、レベルの高さに納得の旨さです。これまで飲んだ今年度の金賞受賞酒は、上立香の濃淡はあるものの、口に含んだときの味の断面はかなり似通っています。いずれも原料は兵庫県産山田錦で精米は35~38%ですが、酵母はそれぞれ異なっています。仕込水も一つは硬水であとの二つは軟水です。それでもこれだけ似ているのは、鑑評会のトレンドに合わせて設計されているからでしょう。円筒形で考えると、断面は極めて似ているのですが、断面積と長さが違う気がします。断面積が味の重層感、複雑さとすれば、長さはキレるまでの膨らみや広がりとキレた後の持続感と考えています。このお酒はと言うと、断面積は小さめで長さが短めなところが特徴だと思います。私自身は、結構好きなほうです。
3年連続金賞で躍進中
さて、こちらの酒蔵ですが、朝来市山東町矢名瀬町にあり、元禄3年(1690年)の創業。丹波との境にある粟鹿山から流れるたいへん酒造に適した地下水のとれる土地だそうです。26年全国新酒鑑評会で金賞受賞。17年ぶりの快挙だそうです。家訓は司馬遷の史記・李将軍列伝にある、諺曰、「桃李不言、下自成蹊(桃李言わざれども下自ら蹊を成す)」です。中島敦の「李陵」の元になった李将軍ですね。杜氏さんはもちろん但馬流。杜氏・勝原誠氏は近隣の養父市出身。営業職として蔵に入り、その後製造職に転身。研究熱心な方だそうで、研鑽に勤めて、金賞受賞の名誉に輝いたそうで、出品酒用は2本仕込んで、蔵元さんと杜氏さんで選ぶそうです。
大吟醸 但馬 金賞受賞酒 720ml 5,400円
兵庫県朝来市矢名瀬508