滋賀県甲賀市の美冨久酒造さんの新しいブランド「三連星」のうちの滋賀渡舟6号を使った純米吟醸バージョンです。写真ではわかりにくいですが、白いバックに白字で「三連」と書かれている、通称「三連星の白」です。なお、純米大吟醸が「赤」、純米が「黒」と呼ばれています。平成29年3月製造。
三連星 純米吟醸 無濾過生原酒 720ml 1,620円
印象 フレッシュでシャープな吟醸酒
澄んだ吟醸香が第一印象。瑞々しいフレッシュな香りです。吟醸生原酒なので当然ではありますが、濃厚よりは鮮やかさに振った香りが、上立香より口中香で強く感じるのが特徴です。口に含んだ印象は柑橘系の酸と強めの甘味がしっかりした輪郭で口の中に凝縮します。(凝縮の後にはビグ・ザムのレーザーのように旨みが口中に突き刺さります)このあたりはシャープで後味も苦味で素早くキレる感覚です。このクリアな感触は開栓当初にほのかな発泡感を伴って強く感じるもの。数日置いたところ、凝縮感は弱まりながらフルーティなふくらみが増してきました。もちろん、全体としてはシャープさを保っていますが、少し強めに冷やすのがいい感じです。
特徴 無濾過生原酒を通年商品にした新ブランド
全量、滋賀県産滋賀渡船6号を55%精米で使用。酒母は速醸で酵母は協会1801号です。アルコール度は17度、日本酒度は+4.4、酸度は1.4ですが、スペックの数値よりははるかに甘味を感じるのは吟醸酒の香りゆえでしょうか。純米吟醸で18酵母を使う場合は、901号や1401号との混醸で醪後半をカバーすることが多いようですが、こちらは純米大吟醸同様に18単独だそうで、ストレートに現代の吟醸の王道?を追求したものでしょうか。
「三連星」シリーズは蔵元4代目が始めた新しいブランド。若手30歳代の蔵人を中心に醸したもので、山田錦を使った「純米大吟醸」、滋賀渡船6号を使った「純米吟醸」、吟吹雪を使った「純米酒」の3種類を展開しています。これを「無濾過生原酒」を通年商品としてブランドの中心に置いたのが新機軸でしょう。生原酒のフレッシュな一方で質感のある香味をブランドの看板にする戦略で、確実にファンを増やしているようです。
生酒なので、販売網を広げずに特約店のみとして蔵の直売もしないというのは鈴鹿川の「作ZAKU」と同じコンセプトですが、これまでのブランドイメージを一新したいという思惑で、富久錦の「純青」など同様、これからも面白い展開があるのではと期待しています。
“ガンダム”がブランドイメージ
ブランドイメージはなぜか「ガンダム」。イベントなどではガンダムのコスチュームで販売に立っておられます。このお酒のラベルにも「三連星、平成28酒造年度への熱き思い~ 第二次地球降下作戦、順調に進行中。三連星が大地に立って十周年の今期も引き続き進撃します。四代目と若き蔵人の想いを込めて、いざ、針路をとれ!」と。あんたはジオンか?
蔵開きの限定酒「MS 28BY S.R.S V-JG55 COMETS」も「あの『新酒生酒』が残っていた。大好評のうちに完売した『あの新酒生酒』が実は貯蔵タンクの底に少しだけ残っていたという衝撃の事実。急ぎ、機械栓瓶というア・バオア・クーの宇宙のような色合いの特殊瓶に詰めて、蔵まつりにだけ販売することが和平交渉により決定。あの『新酒生酒』とはなにか?このデザインからわかる方にニンマリとしてほしい。蔵まつりだけの緊急参戦です」と説明が。なんのことやら私にはわかりませんが、ここまでなり切れば立派なものです。