2016/6/13投稿記事 大阪府交野市、生駒山系の山麓に位置する大門酒造さんの 新しいラインナップ「純米大吟醸原酒 DAIMON 35」です。H28年6月製造。火入れです。
特徴 米の旨みと爽快な酸がコンセプト
「米の旨みをたっぷりと感じられ、爽快な酸味に裏打ちされたボディのある酒」をコンセプトに新たにトップブランドとして立ち上げられたお酒で、思い切った個性が際立っています。米は35%精米の兵庫県産山田錦。酵母はきょうかい1401号。アルコール度は18度です。酒母は速醸です。39日間の低温長期醪ですが、スペックは日本酒度-7。酸度2.1、アミノ酸度1.5というけっこう謎の値です。
印象 意外性に溢れる「熱燗がお勧め」の純米大吟醸
お味はというと、35%精米の山田錦で酵母1401という成立ちから想像するすべてがはずれる意外性に溢れます。派手々々しい香りではないのは予想の範囲ですが、日本酒度-7から考える甘みではない。逆に辛口とさえ思えるのは、酸の強さの由縁でしょうか。純米の原酒とは言え、「大吟醸」から想像する清澄さとは逆に振っている濃厚さで、いわゆるフルーティー感は奥に隠れています。五味それぞれが強く現れていますが、全体として酸が勝った印象で、それ以外の味も複雑に
絡みながら厚みのある味わいになっています。蔵のお薦めは「独特の味わいと深い旨みをお楽しみいただくには常温で、また、熱燗でお召上がりください」というもの。”純米大吟醸を熱燗とは!” 冷、常温、熱燗で試してみました。冷では酸味と苦味が強く、常温で甘みが広がってきます。熱燗(50℃)に至って旨みが乗ってきて、甘みと酸味と苦味のバランスがうまく調和してきました。確かに熱燗が良いようです。
いろいろ試した結果、私は食後に常温でブランデーのように飲みました。これはよかった。
このお酒は「吟醸」を革新する日本酒のブレイクスルーになるでしょうか。主流のウルトラマンにはならないけれど、人気者バルタン星人にはなるかも知れない。
大吟醸としてはかなり濃い色合いです。原酒で無濾過ですが、このあたりは熟成酒っぽい感じもあります。味わいも熟成感が漂います。熟成酒ならメラノイジンの色ということでしょうが、27BYですので、アミノ酸と糖の重合が進んでいるとも思えないので、原料由来のものでしょうか。こちらの蔵のもうひとつの純米大吟醸「青山緑水」では麹の時間を長くとって「老ぎみ」につくるそうで、そうした方法の流れがこのお酒にも使われているのかも知れません。
海外市場がターゲット?かと思う個性的な蔵
こちらの蔵は文政9年(1826年)創業。米や水という資源にも恵まれた北河内の自然豊かな地にあり、中心のブランド名は「利休梅(りきゅうばい)」。大阪と言っても、TV的ヨシモト的大阪イメージではなく、蔵のたたずまいも長い歴史に醸成された「上方」精進文化の品の良さを感じます。「日本食のみならず、世界の料理との相性」を掲げ、お酒に合う料理も「焼肉」「唐揚」「ハンバーグ」「セビーチェ」(何それ?)「バーニャカウダ」(食ったことない?)「北京ダック」という紹介です。従来から、海外市場の展開を図ってきたそうで、ワインも意識しているようですが、通常は白ワインをターゲットのところ、赤ワインを意識しているんじゃないかと思ったりします。
ホームページの動画も蔵元さんが流暢な英語で日本酒と酒造りの解説をしていて、蔵見学も英語可となっています。
純米大吟醸原酒 DAIMON 35 720ml 4,536円
大阪府交野市森南3丁目12-1
JR河内磐船駅から徒歩圏内