三重県伊賀市の伊賀上野城の西に小さな蔵を構える中井仁平酒造場さんの純米吟醸酒「三重錦 備前雄町 中取り 生」28BYです。平成29年4月製造。ただし、ラベルには特定名称表示はありません。1.8リットル換算で200本余のみの製造量。特約店各10本程度の配布で、最後の1本を手に入れました。
三重錦 備前雄町 中取り 生 720ml 1,750円
[MIenishiki Bizen-Omachi nakadori] Brewery:Nakainihei Brewery Mie pref, Iga city, Specific designations:Junmaiginjo-shu, Variety of raw rice:Omachi, Degree of rice polishing:50% Pasteurize:No pasteurized ,Yeast:Mie yeast ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:16% Fragrance:bannana Taste: rich備前雄町の50%精米を三重酵母で
備前雄町を100%使用。精米歩合は酒母米、麹米、掛米とも50%という大吟醸並みの精米です。酒母は速醸で酵母は三重酵母となっています。アルコール度は16度。日本酒度は+5、酸度は1.8です。名前のとおりの「中取り」で、他に「斗瓶取り」も販売されています。ラベルがはみ出ていますが、これは1升瓶と共通のラベルため。アルコール度や酒造年度はボールペンで手書きされています。この蔵らしいところです。
たっぷりとしたゴク味が特徴
このコク、あるいはゴク味と言ってもよい味わいこそが持ち味。一方、これは雑味などではありません。力強くも綺麗な旨みこそがこの蔵らしいところ。香りはごく穏やかなイソアミル系の香り。生酒ですが発泡感はありません。口当たりはなめらかながらもボリューム感のある、たっぷりとした雄町らしい旨みがふくらみます。これに腰のある鮮やかな酸が広がって、骨格をまとめあげています。三重酵母のなかでもMK-1のようでもありMK-5のようでもあります。バランスを失うことなく、一方でダイナミックに展開する旨みとキレ上がる後味こそが、まさに「三重錦」たる由縁。
小仕込みの多品種生産の人気蔵
三重県内で屈指の人気蔵。ただし、「三重の酒」ではなく「伊賀の酒」が看板です。この蔵は伊賀上野の中心部にあります。蔵元杜氏の中井昌平氏がほぼ一人で醸造していました。現在は蔵人1名を加え増石しているようですが、少量生産に変わりはありません。この造石量にして種類は驚くほど豊富。ほとんど小仕込みの少量生産で、見つけたときに手に入れないと翌年まで待つことになります。工程管理も大変で、体力も必要でしょうが、中井昌平氏は元プロボクサー。だからと言うわけではないでしょうが、パンチの効いたストレートな酒が多いようです。現役引退後に酒類総合研究所の研修などを経て蔵を継ぎながら、蔵の一部は「伊賀上野ボクシングジム」になっています。
蔵に掲げられた大きな看板に見るように、伊賀の風土と酒への誇りが全開で出ています。
三重県伊賀市上野西大手町3721
三重酵母とは?
三重酵母は三重県工業研究所が開発した酵母で、現在5種類が分譲されています。
MK-1 純米酒向きで、酸生成が低く、香気成分は酢酸イソアミルを主体とする。
MK-3 吟醸酒向きで、カプロン酸エチルを主体とした香気成分の生成が高い。
MK-5 普通酒向きで、コハク酸生成が高く、濃醇なタイプの清酒製造に適する。
MK-7 純米吟醸酒向きで、コハク酸生成が高く、香気成分はカプロン酸エチルを主体とする。
MLA-12 低アルコール酒向きで、リンゴ酸、乳酸生成が高い。