泉酒造「泉チャレンジ 元BY 山廃純米無濾過生原酒 Hyogo Sake 85」R1BY 兵庫県神戸市

灘・御影郷の泉酒造さんが毎年新しい酒造りに挑戦する「泉チャレンジ」です。今年は新鋭の酒米Hyogo Sake 85を初導入して、さらに低精米での酒造りをするという二重のチャレンジとなりました。今回は生ですが、秋には火入れでも発売予定です。このお酒は特約店のみの販売で、蔵元では直売所、ネットとも販売されていません。2020年6月発売。
泉チャレンジ 元BY 山廃純米無濾過生原酒 720ml 1,540円

[Izumi Challenge 1BY Yamhai-junmai-muroka-namagensyu Hyogo Sake 85] Brewery:Izumi-syuzo, Hyogo pref, Kobe city, Specific designations:Junmai-shu, Variety of raw rice:Hyogo Sake 85, Degree of rice polishing:85% , Pasteurize:no pasteurized ,Yeast:no disclesed ,Yeast starter:Yamahai-moto method, Alc%:20%, Fragrance:banana ,Taste:dry yet rich

”Hyogo Sake 85” 85%精米 Alc.20

まずは、2017年11月品種登録という兵庫県開発の酒米「Hyogo Sake 85」を使用したというもの。精米は名前に合わせて85%という低精米です。酒母は灘ではあまり使われない山廃酛。剣菱さん以外では生酛系はほぼ「生酛」が使われています。これを無濾過の生原酒としています。アルコール度は20度。これは2020年に合わせようというもので、当初の設計では日本度も同様に+20を目指しましたが、結果的には+19となりました。「最後にアミノ酸が増えるのをビビッていまい、我慢できずに上槽」ということだそうです。そのアミノ酸度は1.7、酸度は2.0と、いずれにせよ個性いっぱいのお酒となっています。

強い辛味とコク 玉も利かせて

意外なほどはっきりした果実香が立ち、ピチピチと微細な発泡がはじけます。口当たりから強い辛味とシェイプされた旨味がせめぎ合いながら突き抜けます。高アルコールの辛味だけで押し切られないのは、山廃らしい力のあるコクがあるため。甘味はごくわずか。85%という低精米ですが、雑味感のないコクに到達するのはHyogo Sake 85の特性でしょうか、ギリギリまでねばった醪の由縁でしょうか。このせめぎ合いのまま、スッパリとしたキレに行きつきます。
20度というアルコール度と厚みのあるコクはいかにも玉が利きそうです。水で延ばしてみると、隠れていた酸味が滑らかになった口あたりとともに現れます。少しずつ水を足しながら、味わいが頃合いとなるポイントを見つけてください。

これは貯蔵設備でしょうか。右側にあるのが醸造蔵です。敷地が広く、建物が少ないのは震災の結果だと思います。

Hyogo Sake 85 令和元年は6トンの収穫

「Hyogo Sake 85」は 1986年(昭和61年)に兵系酒八十五号として開発がはじまり、30年を経て2017年11月に品種登録され、2018年6月に最初の酒が蔵出しされました。この初の造りとなる29BYでは、丹波の山名酒造さん、但馬の此の友酒造さんと香住鶴さんの3蔵が、それぞれの地域で栽培した米で発売されました。今回、令和元年収穫では、令和元年農産物検査結果(令和2年3月31日速報値)で兵庫県のみが計上され、検査数量は6トンで、全量が1等米という結果でした。
系統は山田錦と水原258号の交配で、水原258号は韓国で育成された超多収品種です。この計画の背景については「現在、県北部で栽培されている酒米品種「五百万石」や「兵庫北錦」は、登熟期間の高温化で白未熟粒の発生が多く、北部で発生の多いいもち病にも弱い。このため、地球温暖化の適応策としても、高温登熟耐性といもち病抵抗性の強い良質の酒米品種の育成を目指しました」(兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センター)となっています。

蒸米がチャーハンみたい

その特性について「酒造適正は心白が大きく、溶けが良く、粕が少ない。香りが高い」と評価されています。低精米ではどうであったかは興味深々というところですが、「蒸米がチャーハンみたい」で、醪も「ゴッツイ感じ」(85%ならどの米でもそうか?)だったそうです。

スポンサーリンク

スポンサーリンク
スポンサーリンク