梅乃宿酒造「梅乃宿 純米吟醸 ジビエ」28BY 奈良県葛城市

奈良県葛城市の梅乃宿酒造さんが2018年9月28日に新製品を蔵出しされました。名づけて「純米吟醸 ジビエ」。「ジビエ料理をはじめ、しっかりとした味わいの肉料理や煮込み料理とのペアリング」というコンセプトのお酒です。2018年10月製造。
純米吟醸 ジビエ 720ml 1,404円

[Umenoyado junmai-ginjo Gibier] Brewery:Umenoyado Brewery, Nara pref ,ktsuragi city, Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Omachi, Degree of rice polishing:60%, Pasteurize:pasteurized ,Yeast:non disclosure ,Yeast starter:kimoto-method, Alc%:16% Fragrance:plum, Taste:sour yet rich

雄町・生酛・熟成で新たなお酒を

醸造蔵の入り口

「今までにないものを」という発想で開発されたお酒。
原料米には岡山県高島地区産の高島雄町を全量使用。自家精米による精米歩合は60%です。酒母は生酛で酵母は非公開。アルコール度は16度、日本酒度は+0.1、酸度は1.8となっています。28酒造年度に醸造し、1年数ヶ月の熟成を経て蔵出しされました。上槽後に火入れして低温熟成、温度を少し上げてさらに、その後常温で熟成という凝った造りのお酒になっています。

重層の酸を楽しむお酒

酸を楽しむお酒です。まずは、ほのかな梅の香り、含み香では少しの熟成香が加わります。すっきりと滑らかな口当たりに続いて、強い酸の味わいが口中を貫きます。この酸は単調ではなく、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸などが重なり合った多層多重の味わいで、これが厚みと複雑さをもった旨味を与えます。この酸に対称した甘味が底を支えながら、やはり主役の酸が貫く長い後味に結びます。華やかさを味わうお酒ではなく、深い熟成感を味わうものでもありません。一年に余る熟成によって辛味や渋味が包まれた丸みのなかで、「フルーティ」という言葉では括れない爽やかな果実感を楽しむことができました。

発想、工夫、議論で進む

平成22年(2017年)に杜氏制を廃止し、蔵人だけの醸造体制に移行。醸造部門も社員制で社員数56名と奈良県内で大手の酒蔵となっています。明治26年(1896年)創醸という歴史の酒蔵で、かつては但馬杜氏や南部杜氏が酒造りを担っていましたが、とにかく蔵人さんだけでなく会社全体に若い人が多いようです。
酒造りも蔵人だけでなく他の部門からもが新しい発想や工夫が持ち寄られて、議論してコンセプトや設計、醸造を進めていくという印象で、次々と新しい趣向のお酒が生み出されています。このことは、誰に尋ねても自社のお酒のことをよく知っていて、説明の熱量も高いことからも感じるところです。
今回のお酒は「これまでにないお酒を造りたい」ということから、様々な議論や試行錯誤から生まれたもの。

熟成とワイン的要素

醸造蔵内のラボ

「肉料理に合う日本酒」という試みは他の蔵でも取り組まれていますが、熟成感を強く出すか、ワイン的な酸味を据えるかというのが方向性のようです。一方、こちらは両方の要素を持ちながらも、それに満足せず、両方の特徴を併せることを狙ったものではないでしょうか。そういう意味でも新しい挑戦です。

「雄町+生酛」熟成の工夫

「雄町+生酛」が土台ですが、この土台から熟成をどう進めるかが中心的な課題であったのかなと推量します。逆に、いくつもの段階も経過する熟成に耐える土台をつくるための生酛という酒母の選択であり、醪造りにも様々な工夫があることでしょう。例えば、酵母は非公開ですが、こちらでは協会酵母中心に使われているようですので、吟醸酒とは言え、そのなかから香り中心ではない酵母が組み合わされているのではないかと、これも推量します。
実際に「ジビエ」(ラベルは猪と鹿ですが)とは合わせていませんが、どういう展開となるか、機会があるまでしばらく置いておきたいと思います。

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