橋本酒造場 「俳聖芭蕉 純米吟醸」火入れ 26BY 三重県伊賀市

2015/5/24投稿記事 三重県伊賀市。協会1501号、秋田花酵母にこだわる小さな蔵、橋本酒造場さんの「俳聖芭蕉 純米吟醸」の火入れです。

特徴 秋田花酵母で醸す穏やかな酒

伊賀と言えば、松尾芭蕉の出生地。そこでブランド名は「俳聖芭蕉」です。このお酒の米ですが、酒母米は精米50%の山田錦、掛米は精米60%の五百万石です。酵母は協会1501号、秋田花酵母の泡なしタイプ。アルコール度は15.5%、日本酒度+1、酸度は1.6の純米吟醸です。

協会1501号について、秋田県酒造協同組合HPによると、以下のように解説されています。「昭和62年から秋田県と秋田県酒造組合で共同研究が始まり、平成2年(1990年)に吟醸酒ブームの中で全国に先駆けて「秋田流花酵母(AK-1)」が誕生しました。このAK-1を使用した酒が平成3年(1991年)の全国新酒鑑評会で金賞26点を受賞し、蔵元数では25社と都道府県別蔵元数受賞としては全国1位に輝きました。そして同年、AK-1使用の酒に秋田県産地呼称清酒認証制度を採用した秋田県の統一ブランド「秋田旬吟醸」を発売し、一大旋風を起こしました。日本醸造協会はこのAK-1の優秀な特性に着目し、平成8年に「きょうかい1501号酵母」に採用されました。」

印象-偏ることなく伸びやかな味わい

さて、お味ですが、一言で言えば「中庸」。他ならぬ米の甘みが広がります。米ですからさ程の甘みではありません。酸味も苦みも広がります。いずれも控えめです。しかし、「淡い」とか「うすい」とは感じません。それぞれが、まっすぐに、どこかに偏ることなく伸びやかです。これは技巧としての「バランス」ではなく、精神としての「中庸」。これを受け取る満足感があります。もちろん、秋田花酵母という高エステル生産系の酵母ですので、吟醸香も豊かですが、華やかというものではない。ラベルに書かれた芭蕉の句「山路来て 何やらゆかし すみれ草」が見事に表現した香りです。

これを居酒屋で喧しく飲んでも、「うまい」とは感じないでしょう。ある日、なにげない日常の動作や陽の光、風の爽やかさ、木陰の涼しさに、ふと穏やかな人生を感じたときに身に沁みる。そんなお酒だと思います。

造った酒に人柄が表れる

川岸にたたずむ蔵兼販売所

蔵は、まちの中心部、伊賀上野から東に外れた柘植川のほとり、大和街道沿いにモルタルの壁ににサッシの扉という”かなり”ひっそりとした風情です。創業は1887年(明治20年)と新しい蔵です。蔵元杜氏の橋本勝誠さんは、異業種から跡を継いで実家の蔵に戻り、以来ご夫婦で酒造りに励んでいらっしゃいます。近所の酒屋さんによる人物評は「生真面目」。造った酒に人柄が表れています。

平成26年まで、7年連続11回の全国新酒鑑評会金賞受賞。この規模の蔵としては、関係者なら瞠目する経歴です。平成27年は残念ながら、入選を逃されました。そのことについて伺うと、「単に今まで運がよかっただけと思い知りました」と。いやいや、それでは他の蔵の「立つ瀬が無くなります」

HPには「1501号・秋田花酵母にこだわり」とあります。その理由を伺うと、「18年前にそれまで造っていなかった吟醸酒を造り始めたとき、最新鋭の酵母が協会1501号だったので、使ってみたところ、うまくできました。それ以来吟醸酒には1501号を使っています」とのこと。あくまで謙虚で自然体の方でした。

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