2015/11/3投稿記事 憧れの「芋酒」を作るという趣向で、寛政年間を想起して、千葉県香取郡神崎町の寺田本家さんの「純米90 香取」26BYで作ります。
特徴 鬼平犯科帳の芋酒をつくる
池波正太郎著の「鬼平犯科帳」の一編、「兇族」の中で登場する「芋酒」を作ってみました。テレビ放送では、芋酒屋の主人が作り方を解説。「山の芋を細かく刻んで湯に通し、丹念にすり潰して、酒と一緒に燗をする」というものです。これはテレビ放送ではシリーズ違いで2回登場し、中村吉右衛門扮する鬼平こと長谷川平蔵は一回は「珍しいもんだな」、二回目は「こりゃあ逸品だな」と言っています。
作り方はネットの方で。何人か試れて、詳しく載せておられます。やはり、日本酒マニアとしてはお酒にこだわりたい。この当時(寛政年間)の江戸の庶民の居酒屋で売られていたものと考えて、このお酒を選択しました。
お米は無農薬コシヒカリの90%精米。麹菌は自家培養の稲麹からとったもの。酒母は生酛づくりで酵母は無添加です。アルコール度は15度、酸度2.8、アミノ酸度2.3、日本酒度+8で、もちろんアルコール添加はありません。このスペックで想像できるとおりのお酒。開栓した途端に香ばしい香り、稲がたわわに実った田んぼの香りが広がります。
お味は当然ながら酸がいっぱいですが、きつい酸ではありません。牧歌的な、いろんな味がくっついた酸味です。ラベルに書かれた「自然のままのお酒は百薬の長。だからすっぱくてにごっています」あるいはタグに書かれた「試してみて美味しかったら、それは自然の味だからです」のとおり、甘みは弱いですが苦ささえも優しい味わいが特徴です。
長いもで挑戦
さて、芋酒ですが、今回は「長いも」を使いました。理由は手に入るなかで一番登熟が進んでデキストリンが多そうなので、いいかなと思ったからで突き詰めた意味はありません。お味は、このお酒の酸味や苦みを見事に包み込んで、とろりとした口当たり。甘みはあまりないですが、実にマイルドな仕上がりになりました。なるほど、「こりゃあ逸品」です。酒と芋の割合は1:1では芋が勝ち過ぎる。2:1の熱めの燗で、この酒と芋がピッタりマリアージュしそうです。
さすがに千葉までは買いに行けず、西宮市東町のユアサ酒店さんで入手しました。寺田本家さんは中心ブランドは「五人娘」で年間千石ほどの造石量ですが、このお酒のように”自然”をコンセプトにした独特の酒造りで全国展開しています。もちろんかなりマニアなレベルの全国展開ですが、近隣に取扱の酒販店さんがあるのは有難いことです。こちらの酒販店さんも”深入り”したラインナップがかなりのものでした。
純米90 香取 720ml 1,125円