南部酒造場「花垣 棚田米 純米大吟醸」R2製造 福井県大野市

福井県大野市に蔵を構える南部酒造場さんが、地元大野市の棚田で収穫した五百万石で醸した「花垣 棚田米 純米大吟醸」です。製造は2020年9月ですが、醸造年度が確定できていませんので、R2製造としました。お酒の熟成を見ながら蔵出しされるようなので、R1BYかH30BYかと思います。
花垣 棚田米 純米大吟醸 720ml 1,800円+税

[Hanagaki Tanada-mai Junmai-daiginjo] Brewery:Nanbu brewary , Fukui pref, Ohno city, Specific designations:Junmai-daiginjo-shu, Variety of raw rice:Gohyakumangoku, Degree of rice polishing:50%, Pasteurize:pasteurized ,Yeast:FK-4 ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:15%, Fragrance:fruits, Taste:fruity

地元の棚田で生産された五百万石

原料米は地元大野市の棚田で生産された五百万石を100%使用。酒米としては最もメジャーな品種ですが、主要な生産地としては北陸、とりわけ福井県ということになるでしょう。精米歩合は50%。酒母は速醸酛で酵母は福井酵母FK-4であったかと思います。アルコール度は15度。他のスペックは酒蔵のHPに記載はありませんが、地元の酒屋さんによると、日本酒度+4、酸度1.6、アミノ酸度1.0の値となっています。

豊かで優しい甘味 米の味わい

甘やかな果実香が穏やかに広がります。口当たりから立ち上がり早く甘味が膨らみます。豊かで優しい甘味と、これも優しい酸味が寄り添った膨らみに、わずかの苦味がほのかな陰影となって、ほどよく締まった姿を見せてくれます。大吟醸ですが、米の味わいを削ることなく、旨味がたっぷりなのは、「棚田米」という米をコンセプトにしたところでしょうか。一方で、重すぎない軽やかさと、クリア―なキレは五百万石らしさだと思います。

七間通りに面した酒蔵前にある「お清水(おしょうず)」の井戸

阪谷地区-見渡す限り一面に広がる棚田

「標高三百メートルの高さに位置する大野市・阪谷地区。絶えず風が吹き、害虫が付きにくいことから、農作物を育てるのに最適な場所としてその名が知れ渡っています」「阪谷地区を象徴するのは、見渡す限り一面に広がる棚田。この地の「棚田米」は良質で美味しいと評判になるほどです。その理由は、阪谷地区の恵まれた環境にありました」と酒蔵のHPで紹介されています。朝夕の寒暖の差が大きいというのは山田錦の主要生産地の吉川・東条地区と同じですが、「太陽がしっかり当たる!→南西向きの傾斜」というのは逆のようで、このあたりは米の違いでしょうか。
今更という五百万石ですが、昭和32年(1957年)に新潟県農業試験場で「菊水」と「新200号」の交配によって誕生したもので、生産地も広範囲に及びますが、主な生産地は新潟県と福井県、富山県、石川県の北陸地方となっています。比較的固い米という印象がありますが、機械化にも適応性が高く、酒米として最も生産量の多い米となっているようです。

七間通りに面した酒蔵には直売所があります

大野市の七間通りで全量特定名称酒に

南部酒造場は享保18(1733)年に大野市の七間通りで創業、藩の御用商人で金物を扱っていたそうです。明治34(1901)年に酒造りに進出したという経歴です。こちらの名前が全国的に知られるようになったのは昭和60年頃からであったように思いますが、やはり、「手造りで目の届く量を丁寧に醸していく。原材料にこだわり醸造方法にこだわる」ということで、1997(平成9)年には全量特定名称酒となるなど、高品質化と経営を含めた近代化が成功したものと思います。
杜氏さんは能登杜氏。

七間通りは昔日の風情を残す観光地ともなっています

 

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