菩提山正暦寺「菩提酛清酒祭」2020/1/11 奈良市

菩提酛発祥の地、奈良市の菩提山正暦寺で恒例の「菩提酛清酒祭」が行われます。これは「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」に所属する奈良県の蔵元が集まって、この日に菩提酛の酒母を造り、これを蔵に持ち帰ってその年の菩提酛による清酒を造るというもので、この工程を公開するととも、その年の担当蔵やご住職が解説し、ご僧侶による安全祈願を行う祭になります。従って、手づくりの「歴史探訪型」イベントで「酒飲み型」イベントではありません。

The Bodai-moto Sake Festival will be held at Syoryaku – temple in Nara City on January 11, 2020. Bodai-moto is an innovative yeast starter technology invented in Syoryaku-temple in the 15th century. Eight breweries in Nara Prefecture revived the technology that was lost 20 years ago. On that day those breweries will jointly brew Bodai-moto in the way of the 15th century.

日時と交通(予定)

日時:2020年1月11日(土)10:00~13:00 時間はおよその目安で、作業は早く始まることもあるようです。
場所:奈良市 奈良市菩提山町157番地 菩提山正暦寺
毎年、人出が増えているように思いますので、会場のレイアウトやスケジュールなどに変更がある可能性もあります。

交通:奈良市内とは言え、交通はとても不便です。
まずは、JR・近鉄奈良駅から天理駅ゆきバスで「窪之庄南」バス停(セブンイレブン前)へ。当日はここから送迎車が運行されます。
(昨年例)送迎車発着場所はバス停から奈良方面へ少し戻った、喫茶「HERO」の駐車場でした。送迎時間はおよそ9:00ごろからピストン輸送となります。現地まで4kmの距離です。複数運行ですが、混雑時は積み残しの可能性もあります。小規模イベントで、変更の可能性もあります。利用予定の方はご自身で問い合わせてください。正暦寺( 0742-62-9569 )
ハイキングとして歩く方もいらっしゃいます、後半2kmは上り坂になります。
駐車場は80台。一部がイベントスペースに使われて減りますので、9時ころには着いておくと余裕でしょう。

会場の様子

会場とは別の広場でテントで参加蔵による菩提酛酒の有料試飲や販売があります。また、粕汁の振舞いが予定されています。甘酒があるかも知れません。いずれも小規模なものです。

15世紀僧房酒の再現的復活

「御酒之日記」に菩提酛あるいは菩提泉の記述があることが発見され、後の「童蒙酒造記」にも菩提酛の記述が確認されました。しかし、この手法は地元奈良の酒造現場でさえ認識されることがなかったものを、奈良市の安川酒造の先駆的取り組みの後、平成8年(1996年)7月に奈良県の若手酒造家を中心に「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」が県工業技術センターや正暦寺を賛助会員に迎えて発足。手法としての菩提酛づくりではなく、当時の再現としての菩提酛づくりを目指して、平成10年(1998年)に再現に成功しています。独特の乳酸菌や酵母を使いながら、この菩提酛の特徴である酒母づくりを、毎年発祥の地、正暦寺で行うのがこの祭です。

蒸米の切り出し。手作業で放冷の後、掛米として投入される

当日の工程

事前に麹米は準備されています。また、菩提酛特有の手法である「そやし」水も用意されています。これは生米と炊飯米(ご飯)、正暦寺乳酸菌を含んだ裏山の湧き水を混ぜたもので、乳酸を大量に含んだ仕込水です。現地では甑で掛米を蒸しあげます。できあがった蒸米を切り出して、筵の上で放冷し、酒母に投入します。その際にそやしも添加されますが、酒母に麹米に合わせて炊飯米を加えるのが独特の工程になります。こうした作業のおよその説明とご住職による菩提酛復活の説明があります。

正暦寺ご住職による菩提酛の歴史の解説。手に持っているコップの中に「そやし水」

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