す兵庫県姫路市の北端安富町に位置する人気蔵、下村酒造さんの「奥播磨 播秋(ばんしゅう) 山廃純米 山田錦 五拾五 生」28BYです。平成29年9月14日発売の純米吟醸生酒です。
奥播磨 播秋 山廃純米 山田錦 五拾五 生 720ml 1,927円
[Okuharima Bansyu yamahai-junmai yamadanishiki55 ] Brewery:Shimomura Brewery Hyogo pref Himeji-city, Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:55% Pasteurize: No ,Yeast:Kyokai No7 ,Yeast starter:yamahai-moto-method, Alc%:17.8% Fragrance:apple, Taste: fluity yet rich地元播州地域の土地と空気
「播秋」の名は、地元播州地域の土地、そこから得られる米に由来しています。米は麹米、掛米ともに播州産山田錦を使用。精米は名前どおりの55%精米です。酒母は山廃酛で酵母は協会7号酵母。アルコール度は17.8度。日本酒度+1.0、酸度2.8、アミノ酸度2.1となっています。「播秋」は兵庫夢錦バージョン(1,643円)との2種展開となっています。
熟成と山廃の力強さを端正に昇華
ワイン的とも言えるフルーティさと濃醇な味わいを、整った姿に型づくるお酒です。
馥郁とした吟醸香が豊かに香ります。カプロン酸エチル系の美しいリンゴの香りです。口当たりから滑らかな舌触り。果実的な質感のある酸味と抑制された甘みが広がります。生らしいフレッシュながらも五味が濃厚に効いた味わい。舌の上でバランスよくとどまり、姿のよい後味にキレていきます。慌てて蔵出しせずに、味わいが整うのを十分に待った熟成感と山廃の持つ力強さを旨味に昇華した奥播磨らしい逸品です。
冷やせば、フルーティで濃醇な味わい。とりわけ酸を強く感じます。ぬる燗(40℃)ではまろやかに角が取れて、五味がしみわたります。
オーセンティックな幅のなかで繊細な展開
明治17年(1884年)創業。姫路市の北西端、中国縦貫道安富PA近くの冬には寒冷となる土地に蔵があります。東京農大出身の6代目蔵元杜氏のもと蔵人5人で年間600石(108kl、もう少し多いかも知れません)という少量生産です。「手造りに秀でる技はなし」を家訓に、機械化・大量生産を一行わず、手造りによる伝統の酒造りを守るという酒造りです。
米は上質の山田錦と兵庫夢錦、酒母は速醸と山廃。酒質はオーセンティックな日本酒の幅に収めながら、その中で濃醇なものからクリアでシャープなものまで、繊細にバラエティーを展開しておられます。
年中無休の直売所には凛とした空気
直売所は年末年始も含め「年中無休」ということですが、いわゆる「観光蔵」とは違い、道は狭くバスは入れませんし、店舗も狭いです。冬場は路面も凍結します。何よりも観光の風情ではなく、酒好きが通う酒蔵の凛とした雰囲気を保っています。近年たいへんな人気で手に入り難いというお話も聞きますが、直接直売所で購入している分には、季節ごとのお酒が十分に入手できています。
地理的にも但馬杜氏が活躍する地域で、岡山の三光正宗を最後に引退された高垣克正杜氏がかつて酒造りをされていました。山廃造りで知られた高垣杜氏が基礎をつくったとは、古くからこの蔵を知る人たちの感想です。芳水に移られてからも随分と年月も経った現在は、もはや現杜氏の世界となっていると思いますが、今もその系譜を感じているオールドファンも多いようです。