全国新酒鑑評会

平成29年(2017年)5月18日に「平成28酒造年度全国新酒鑑評会」の入賞酒が発表されました。今年は出品数860に対して入賞酒437、金賞242となっています。日本酒のコンテストというか評価会は数々ありますが、各蔵が本気で取り組むのはこの新酒鑑評会だけではないでしょうか。
実際にこの鑑評会出品酒だけのために小仕込みで全ての作業に細心の注意を払い、付きっ切りで酒造りをするわけですから、蔵の技術とプライドを傾注した闘いになるわけです。
逆に、「実際に販売している酒と違うではないか」という批判があるのも事実です。そこは鑑評会の趣旨「平成28年度に製造された清酒を全国的に調査研究することにより、製造技術と酒質の現状及び動向を明らかにし、もって清酒の品質及び製造技術の向上に資する」を考えると、意味のあることではないかと思っています。
さらに、「出品酒はどれも似ている。そっくりで個性がない」という批判もあります。そのとおりなのですが、多様性に富んだ清酒は、違い過ぎて同じ吟醸酒でも比較のしようもありません。そのなかで、この鑑評会出品酒だけは比較することが可能で、そこに酒蔵の個性を見出すことができる点がおもしろいところです。1年余り後には「出品酒の分析」も発表されますので、現状を知る上で随分と参考になります。
また、大手蔵や人気蔵から無名の小さな蔵まで同じ土俵で勝負するもので、プロがブラインドで鑑定・評価するために、下克上が生じてきます。知名度も資金力も乏しい蔵がこの1本の出品酒で金賞を受賞して、全国に名を知らしめる機会にもなっています。

今年の結果を見ると、東北地方、特に宮城県が金賞20件と大きく伸ばしているのが目立ちます。福島県は昨年も金賞18件と最多でしたが、今年は22件とさらに延ばしています。この2県に秋田県16件、山形県15件が続きます。静岡、愛知、三重の東海3県は昨年は合計6件と不調でしたが、今年は17件と復調しています。一方、私の地元兵庫県は13件と昨年から4件減らしていますが、蔵元さんや杜氏さん、蔵人さんの顔が浮かぶので残念なことです。というのも、「金賞受賞されましたね」と声をかけたとき、「いやあ、もうたまたまですよう」と言いながらの「よく言ってくれました」という嬉しそうな笑顔を見ると、こちらも嬉しくなりますし、酒造中の苦労もしのばれます。毎年受賞する大手メーカーでさえも「事務所でも万歳バンザイでした」というのを聞くと、金賞受賞は簡単なことではないと再認識します。

なお、兵庫県内の地域別で金賞の昨年比を見ると、「灘」11→8、「播州」5→2.「丹波」0→2、「但馬」1→1、「淡路」0→0となっています。

これから、6月7月にかけて金賞受賞酒の販売がはじまりますが、いずれも3年ぶりと思いますが兵庫県姫路市の壺坂酒造「雪彦山」、三重県伊賀市の橋本酒造場「俳聖芭蕉」、また、娘さんが蔵を継がれた長野県木祖村の湯川酒造店「木曽路」、どんなお酒を造られたのか楽しみに待っています。

酒類総合研究所 発表