山名酒造「奥丹波 木札」R1BY 兵庫県丹波市

兵庫県丹波市市島町の山名酒造さんが毎年末に蔵出しする「奥丹波 木札」です。山田錦の新米を使った人気の純米吟醸生酒です。11月予約受付開始、12月21日に蔵出しとなりました。12月26日にはウェッブショップ完売です。小売りには残っている可能性はあります。「奥丹波」と焼き入れられた木の札は兵庫県立氷上特別支援学校で作られたもので、棕櫚縄で掛けられています。
奥丹波 木札 1.8ℓ 4,000円(税抜き)

[Okutanba Kihuda ] Brewery:Yamana Brewery Hyogo pref Tanba-city, Specific designations:Junmai-ginjo-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:60% Pasteurize: No pasterized ,Yeast:Meiri ,Yeast starter:sokujo-moto-method, Alc%:16% Fragrance:muscat, Taste:fruity and clear

新米の山田錦を使った純米吟醸

新米の山田錦を使った純米吟醸酒。今年の兵庫県内の収穫は、若干遅めの10月下旬でした。晩生の晩という山田錦を使ったお酒を12月に出荷するのはギリギリのタイミングですが、これを長い醪期間の必要な吟醸で、しかもこの完成度に到達させているのが人気の理由です。米は地元産山田錦を60%精米したもの。アルコール度は16度。日本酒度は予約開始時の目標値+2。酒母は速醸で酵母は明利酵母です。蒸米は甑和釜、上槽は槽搾りとありますが、大正時代の製造とか。仕込水は神池寺山伏流天然水と表記されています。澱下げは自然沈殿だそうです。杜氏は丹波杜氏・青木卓夫氏です。
ラベルにはロット番号が打ってありますが、1,000番ごとにタンクが変わるので、微妙に香味が違うそうです。

マスカットや青林檎のような芳香ときめ細かくなめらかな味わい

マスカットに寄った若いリンゴの香りが立ち上がります。ひやで試してみました。口当たりはスムース。透明感のあるしっかりした甘味がゆるやかに広がりながら、果実的でおだやかな酸味が包み込みます。屹立するような酸味ではなく、形を整えるような役割です。それらの味わいが徐々に溶け出して、苦味が姿を現してキレに結び、凪いだ水面のような美しい余韻をとどめます。新米新酒ですが、暴れるようなことはなく、凛とした姿。フレッシュでもありフルーティではもありますが、クリアで端正な姿を印象に残す逸品です。静かな冬のひと時を透き通る夜空とともにお楽しみ下さい。
蔵の紹介は「暮れの新酒真打ち!酒米の最高峰・山田錦使用。明利小川酵母が醸すマスカットや青林檎のような芳香ときめ細かくなめらかな味わい」というもの。「大晦日から小寒の一週間が最も美味しい飲み頃」というお薦めからは、少々フライングではありますが、時の経過を追いながら楽しみたいと思います。

配送されたお酒に同封されている案内

「酒蔵便り」から「OKUTANBA」へ

氷上特別支援学校での製作の過程

季刊の「酒蔵便り」は「OKUTANBA」とネーミングが変わりサイズと体裁も変わりました。11月11日に発行された「OKUTANBA04号」のテーマは「木札の物語 氷上特別支援学校」となっています。1997年にスタートした「奥丹波 木札」は発売当時から木の札がかけられており、当初は篠山養護学校で、後に氷上特別支援学校で製作されており、この氷上特別支援学校での製作の工程を追う物語となっています。
4号を迎える「OKUTANBA」は各号一つの物語が綴られていて、ホームページで見ることができます。

手作りなので当然ですが、一本一本異なった表情の木札が掛けられており、毎年処分せずに残しています。

蔵元 徒然日記

私がいつも楽しみにしている巻末の「蔵元徒然日記」のテーマは、子どものころのクリスマスとその当時発売した奥丹波(”木札”)でした。これによると、
「当時、当蔵は新銘柄「奥丹波」(現在の”木札”)を世に送り出した頃だった。今では看板酒となった木札も発売当初は鳴かず飛ばず、年の瀬には蔵元自ら地元の民家にポスティングして回ったという。振り返れば、慌ただしく余裕のない酒蔵の歳末で、クリスマスは子どもの心を満たしてくれる唯一のイベントだった。そんな思いでがあるからか、今でも木札が仕上がる時分には、幼いころのあの高揚感が変わらず蘇る。」

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