鳳鳴酒造「鳳鳴 しぼりたて 新酒生酒」R1BY 兵庫県丹波篠山市

丹波杜氏のふるさと丹波篠山市に位置する鳳鳴酒造が、今シーズン最初に蔵出しした本醸造酒「鳳鳴 しぼりたて 新酒生酒」です。今年5月に篠山市から丹波篠山市に市名が変更されました。販売は市街中心部の「ほろ酔い城下蔵」ですが、実際の醸造蔵は市街地とは離れたJR篠山口駅前の味間蔵です。12月5日発売。
鳳鳴 しぼりたて 新酒生酒 720ml 1,320円

[Houmei Shiboritate sinmai-sinsyu] Brewery:Houmei Brewery Hyogo pref, Tanba-sasayama city, Specific designations:Honjozo-shu, Variety of raw rice:Gohyakumangoku, Degree of rice polishing:70% Pasteurize:no pasteurized ,Yeast:unknown ,Yeast starter:sokujo-moto method, Alc%:18~19% , Fragrance:apple,  Taste:fresh and strong

12月5日 新酒蔵出し

原料米は五百万石の本醸造酒で、精米歩合は麹米60%、掛米70%となっています。酒母は速醸酛で酵母は不明ですが、スタンダードなきょうかい酵母だと思います。アルコール度は18度以上19度未満の原酒です。オンラインショップの表記は日本酒度±0、酸度1.4、アミノ酸度1.0となっています。

新酒生原酒らしい鮮やかな旨味

口当たりは透明感のある素直なもの。一拍おいて味わいが一気に膨らみます。まずは、フレッシュな酸味が第一印象ですが、甘味がベースに広がり、苦味や渋味も伴って鳳鳴らしい力強いコクを形成します。後半には甘味の感覚を残しながら、苦渋味がキレをつくって比較的長い余韻を引きます。新酒らしい鮮やかな旨味と原酒の高いアルコール感が充実した味わいとなる、季節感いっぱいのお酒です。

新杜氏・岡和宏氏へ 最初の新酒蔵出し

12月6日に「にごり酒」とともに蔵出しされた、シーズン冒頭を飾る2種類の内の1本。本醸造の原酒です。もう一つは日本晴を使った普通酒の「にごり酒」です。令和元酒造年度に就任した新杜氏さんの最初の新酒蔵出しとなりました。
平成30酒造年度まで長年にわたって鳳鳴酒造の酒造りを担った中川博基前杜氏から岡和宏杜氏への交替が、春の「新酒まつり」で発表されました。丹波杜氏組合の前組合長であり、全国新酒鑑評会金賞の常連でもあった名杜氏・中川さんの引退は惜しまれるところですが、新杜氏の岡さんは菊正宗酒造から移られ、副杜氏として中川杜氏さんの下で酒造りに携わってこられた方です。「新酒まつり」のときに、「大手ではどうしても部分の担当になってしまう。最初から最後まで全体を通した酒造りをしてみたかった」と鳳鳴酒造に移った理由を話しておられました。今後、どのようなお酒が登場してくるのか楽しみで、ご活躍を期待します。
なお、中川さんは日本酒造杜氏組合連合会の理事は継続されています。

味間工場で開催された鳳鳴新酒まつりで、中川杜氏(左)の紹介であいさつをする岡新杜氏(中央)

丹波杜氏酒造記念館も近隣に

ここ丹波篠山市と北隣りの丹波市が丹波杜氏の出身地。現在はこの地域以外の出身者も丹波杜氏組合の組合員となっています。市内には杜氏組合の事務所も兼ねる丹波杜氏酒造記念館があり、展示室もあります(入場協力金100円)。ここには組合員杜氏の写真が飾られており、その人数は52人。今年8月に開催された「第116回兵庫県酒造大学講座」には約120人が参加されたそうなので、蔵人さんを含めてそれくらいの組合員はおられると思いますが、明治38年(1905年)には5,500人を数えたと聞きますので、かなり減っていることは確かです。全国的にも、日本酒造杜氏組合連合会の会員杜氏は昭和40年には3,683人であったものが、平成30年には689人。杜氏以外も含めた会員数も28,075人だったものが、2,269人となっています。ただし、日杜連会員はここ2年ほどわずかながら増加に転じたのは希望を感じることです。

ほろ酔い城下蔵の近隣にある丹波杜氏酒造記念館

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