富久錦「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」「純青 生酛特別純米 山田錦」30BY 兵庫県加西市

兵庫県加西市の純米蔵、富久錦さんが展開する「2019年純青サポーター」の3回目となる頒布品、「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」と「純青 生酛特別純米 山田錦」の2本です。2019年8月製造。
純青サポーター 会費10,800円 年3回×2本(720ml)

[Junsei Hyogo-yumenishiki Kimoto Junmai-daiginjo] Brewery:Fukunishiki Brewery, Hyogo pref, Kasai city, Specific designations:Junmai-daiginjo-shu, Variety of raw rice:Hyogo-yumenishiki, Degree of rice polishing:50% , Pasteurize:pasteurized ,Yeast:no open ,Yeast starter:Kimoto method, Alc%:16%, Fragrance:fruit, Taste:fruity and sour
[Junsei  kimoto tokubetsu-junmai yamadanishiki] Brewery:Fukunishiki Brewery, Hyogo pref, Kasai city, Specific designations:Tokubetsu-junmai-shu, Variety of raw rice:Yamadanishiki ,Degree of rice polishing:60% , Pasteurize:pasteurized ,Yeast:no open,Yeast starter:Kimoto method, Alc%:16%, Fragrance:fruit,Taste:fruity, sour and rich

夢錦を純米大吟で、山田錦を特純で

昨年に続き「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」は原料米が豊倉町営農組合産の兵庫夢錦。精米は50%です。アルコール度は16度となっています。もう一つは昨年と変わって「純青 生酛特別純米 山田錦」です。麹米、掛米とも加西市産西脇農園の山田錦でいずれも精米は60%です。アルコール度は同じく16度となっています。酒母は3年目になる生酛で、酵母はおそらく協会901号あたりかと思います。純青シリーズは基本的に「フレッシュな味わい」「できたままのお酒」がコンセプトのため無濾過生酒ですが、今回は火入れとなっています。暑い季節の宅配という流通を考えると「火入れ」がよいと思います。それでも「あったまった」状態で配送されました。

異なった酸の味わいと進化

平成30酒造年度のテーマは「五味の調和と美しい酸」でした。
いずれの香りも甘やかな南国のフルーツを思わせるもの。意外にも「純青 生酛特別純米 山田錦」の方が濃厚に感じられます。口当たりの第一印象は、もちろん「酸」ですが、「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」は柑橘的で軽快さを感じさせるもの。この酸がストレートにキレまで貫き、シェイプされた硬めの味わいにまとめます。一方の「純青 生酛特別純米 山田錦」は丸みのある「酸」を感じます。様々な味と合わさりながら膨らみ、厚みと奥行きのある旨味に結びます。2つとも甘味はザラつかず、生酛らしい滑らかでキメ細かな肌触りを持っています。「昨年より麹を固めに、醪を長めにとった」効果でしょうか。昨年とは異なった味わいと香りに到達しています。
私的には「今までとは違う醸造過程を採用し、酵母にストレスをかけないようにに心がけ」たという「純青 生酛特別純米 山田錦」を推したい気持ちです。落ち着いた調和とたたずまいに華のある、味わい深い逸品です。

醸造蔵のサーマルタンク。左が木桶

4年間のラインナップの経過

純青サポーターの3回目は毎年8月に送られてきます。このプロジェクトでは毎年の「変化」あるいは「進歩」というものがコンセプトの一つになっていて、飲み手もこの変化あるいは進歩を感じることが興味の対象となります。これは全ての純青に通じるものですが、今回はラインナップが「純青 絹光 生酛純米 火入れ」から「純青 生酛特別純米 山田錦」に代わりました。

 酒 名原料米
2016年純青 特別純米 山田錦 無濾過 生
純青 山廃純米 無濾過 火入れ
山田錦60%精米
山田錦60%精米 キヌヒカリ60%精米
2017年純青 絹 光 生酛純米 火入れ
純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 火入れ
山田錦60%精米 キヌヒカリ60%精米
兵庫夢錦60%精米
2018年純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸
純青 絹光 生酛純米 火入れ
兵庫夢錦50%精米
山田錦60%精米 キヌヒカリ60%精米
2019年純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸
純青 生酛特別純米 山田錦
兵庫夢錦50%精米
山田錦60%精米

8月という盛夏の時期に何を出すのかも難しいところですが、表にしてみると毎年少しずつの変化があることがわかります。もちろん、銘柄だけでなく、どう造るかの変化を、進歩という方向で毎年見せるのは造り手として大変な苦労だと思います。しかし、富久錦さんのお酒は純青に限らず、毎年評価が上がっているように思うのはこうした研鑽の成果でしょう。2017年(平成28酒造年度)には全量生酛化という大きな変更があり、今期は上槽をはじめとする設備の更新もあるなど、いろいろと楽しみがあります。

こちらが「仕込み蔵」

来年度の「純青」シリーズ

「純青」は新しい取り組みのために創出されたブランドと理解していますが、稲岡敬之社長と村崎哲也杜氏さんの体制のなかで来シーズンもどのような作品を見せてくれるのか楽しみです。
なお、2020年度もサポーターの募集が予定されています。
10,000円(税別)2019年11月30日(土)締め切り
令和1酒造年度のコンセプトとラインナップの予定
”純青2020”のテーマは「凝縮された米の旨みを感じる」というもの。「よりクリーンな生酛造りを行い、五味の調和のとれた配合と発酵、瓶詰めや貯蔵までの管理」によって、山田錦、兵庫夢錦、愛山、短悍渡舟、キヌヒカリの特性や旨みの生きるお酒を生み出そうというものです。
第1回 2019年12月中旬
・純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 直汲み
・純青 兵庫夢錦 生酛純米吟醸 おりがらみ
第2回 2020年3月下旬
・純青 愛山 生酛純米吟醸 生
・純青 山田錦 生酛特別純米 生
第3回 2020年8月中旬
・純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸
・純青 短悍渡舟 生酛純米 木桶仕込み

直売所とレストランのある「ふく蔵」入口の杉玉

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