山名酒造「奥丹波 錦醪」30BY 兵庫県丹波市

兵庫県丹波市の山名酒造さんが、この2月1日に蔵出しした「にごりざけ」の新酒「錦醪(きんろう」です。12月21日に蔵出しされた恒例の「奥丹波 木札」の滓の部分を集めたという噂の生酒ですが、このスタイルで販売されたのは初めてになると思います。2019年2月1日発売。劣化に対する繊細な管理が必要なため、流通経路は限られます。
奥丹波 錦醪 720ml 2,052円

[Okutanba Kinrou Nigorizake] Brewery:Yamana Brewery, Hyogo pref Tanba-city, Specific designations:no designations, Variety of raw rice:Yamadanishiki, Degree of rice polishing:60% Pasteurize: No pasterized ,Yeast:(Meiri),Yeast starter:sokujo-moto-method, Alc%:16% Fragrance:green apple, Taste:fruity and rich

「木札」の滓部分か?

原料米は山田錦100%で精米歩合は60%の生原酒です。アルコール度は16度で、日本酒度は+1となっています。「木札」の澱の部分ならば、速醸酒母で酵母は明利酵母ということになります。「生生」酒で滓の部分ですので、瓶内の二次発酵による炭酸ガスが発生しています。

清々しくもコクとキレに特徴

瓶を傾けて、底に溜まった「滓」を全体に広げました。一度混ざるとなかなか沈まない細かな滓です。
青いリンゴが少し熟した香りが清々しく立ちのぼります。ここは奥丹波らしいところ。口に含むと微細ながらも強い発泡感が口いっぱいに広がり、果実的な甘味と酸味が口の中をひと巡りしながら、抑制的な姿のよい旨みを結びます。「木札」に比べるとエッジの立ったコクになっているのはひと月余の熟成によるものでしょう。よい感じに体に浸み、後半にはほろりとした苦味を呈しながらキレて後を引かず、わずかな余韻を残します。
フルーティではあるものの、白く濁る見た目の甘やかな印象とは少し違うお酒に仕上がっています。

滓と滓引きとは?

上槽後の「おり引き」「濾過」という工程はなかなか複雑多様で、素人には分かりません。こういうときは「灘の酒用語集」に頼ります。

(おり | 灘の酒用語集) 「 圧搾・上槽直後の清酒は白く濁っており、これを数日間放置すると、底部に白色の混濁物質が沈殿する。この沈殿物をおりという。おりの成分は、デンプン、繊維質、不溶性の蛋白質、清酒酵母、酵素類などである。酵素類の作用によりデキストリンは糖類に、蛋白質はアミノ酸に分解され、酒の香味が変化する。また、酵母の自己消化によっても香味が劣化する。この混濁物質であるおりをなるべく速やかに除き、酒質の劣化を防ぐ必要がある。圧搾・上槽したばかりの清酒を容器に入れて放置するとおりが沈殿し、上部は清澄する。おりと清澄な清酒を分離することをおり引きという。また、おりはろ過によっても取り除くことができる」 
(おり下げ | 灘の酒用語集)「(前略)物理的おり下げ方法としては、タンニンと蛋白質の結合による凝集沈殿を利用するもの、アルギン酸の酸性での凝集沈殿を利用するもの、二酸化ケイ素により凝集沈殿させるものがある。酵素的おり下げ方法は、プロテアーゼ作用によって混濁物質が分解され、これによって白濁原因の蛋白の分子内の二次結合が崩壊して、互いに凝集をおこし沈殿するのを利用するものである」

滓引きを予想してみる

こちらでは、毎年11月に兵庫北錦・五百万石の新米新酒で「奥丹波 醪」が「滓がらみの新酒をタンクに置くこと四~五日、静かに降り積もる白い部分(醪)だけを抜き取り瓶詰め」という紹介で蔵出しされます。これが山田錦になるので「錦醪(きんろう)」というネーミングだろうと思います。
一般的に滓は炭、柿渋や珪藻土、ゼラチンやアルギン酸などの助剤で下ろします。かつて大手メーカーで濾過場を担当されていた方に伺うと、これらを併せて使うと10万ℓ規模のタンクでも(うまくやれば)1日で引ききれるそうです。また、タンクの1割程度が滓の部分になるようですが、炭では黒色が出たり、柿渋も量が多いとオフフレーバーになるようで、助剤については種類、製品も多く、それぞれに長短・特性があるようです。また、ひと言で「滓」と言っても、その中で複数の異なった層ができるそうです。
いずれにせよ、完全に自然に滓を下げるのはかなり時間がかかり、最近はフィルターによるものも増えています。
このお酒の滓引きの方法については、「結局、わからない」というのが結論ですが、タンクに沈んだ滓の層の上澄みの部分であろうとだけ予想しました。

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