岡村本家「長壽金龜 赤 生原酒」28BY 滋賀県豊郷町

低精米酒で実績のある東近江、豊郷町の岡村本家さんが平成25年以来試験醸造していた玄米酒が、「長壽金龜 赤 生原酒」の名称でついに発売になりました。平成29年10月製造の生原酒です。

長壽金龜 赤 生原酒 720ml 2,160円

[Choju kinkame Aka(red) ] Brewery:Okamura-honke Brewery Shiga pref  Toyosato-city, Specific designations:no, Variety of raw rice:unknown, Degree of rice polishing:no polishing  Pasteurize:no pasterized  ,Yeast:unknown ,Yeast starter:sokujo-moto-method, Alc%:14%  Fragrance:plum, Taste:sour

梅酒のようにクエン酸を感じる酸味

香りは果実的というより梅の香り。ちょっと不思議な香りです。口当たりから梅酒のような果実的な、さらにはクエン酸を感じる酸味が全体を支配しながら貫きます。これを支えるやわらかな甘みと合わさって創り出される爽やかさが特徴です。玄米酒ということで雑味感が強いかと思っていましたが、そんなことはなく、舌触りも滑らかです。渋味や苦味、辛味も圧倒する酸味に流された感じで、後口もスッキリした清涼感さえ感じさせるオリジナリティーあふれるお酒に仕上がっています。とても飲みやすいお酒です。

「玄米麹」への数年の挑戦の末に製品化

玄米酒らしい色合い

精米せずに玄米で醸造したというお酒。まずは、この色合いがお酒の特徴を物語っています。スペックについては近江産米100%、アルコール度14度というのみの表示です。こちらの蔵では低精米酒の酵母は協会7号酵母を使っているので、このお酒もそのあたりではないかと思います。種麹が何かは興味のあるところです。28酒造年度最後の仕込で造られたこのお酒で米は無農薬米だそうです。上槽は木艚袋搾りです。
平成27年10月11日に開かれた「滋賀地酒の祭典」に玄米酒が試験出品されました。玄米で麹ができるのかがまず頭に浮かぶ疑問ですが、そのあたりを園田睦雄杜氏さんに尋ねると、
「精白米と同じような麹はできないが、玄米なりの麹がつくれることが分かった」
というお答えでした。試飲したところ雑味感と穀物感にあふれた荒ぶるお酒で、これはこれで美味しかったものです。
翌年に発売はなく、今年、ついに発売となりましたが、そのあたりを社長さんに伺うと
「思うような麹がなかなかできなかった」
というお話でした。今回は比較するとスマートなお酒になっているので、その辺りの事情でしょうか。
この麹については蔵のフェイスブックに写真が掲載されています。当然、かなり色づいたものですが、ちゃんと総破精ぎみに麹がついているようです。原酒でアルコール度が14度というのも糖化の進行が難しかったためではないかと思います。

滋賀県の大手、10%刻みの精米でラインナップ

醸造蔵の一角に広い直販所

安政元年(1854年)に彦根藩井伊家の命により創業。近江の米と鈴鹿山系の伏流水を得て酒造りを発展させます。大正元年(1912年)には灘西宮に辰馬悦蔵氏(現在の白鷹)の祝蔵を借り受けて進出。大正4年にはこれを買収。昭和14年(1939年)には旧満州で酒造開始と発展しますが、戦災と終戦で資産を喪失という経験をします。
現在の能登杜氏である園田睦雄杜氏のもとで「藍40」「黒50」「緑60」「茶70」「白80」「青90」と精米10%刻みのラインナップが特徴。80まで行ったから「次は90も」ということで、最初は「ライスワイン」と言う名前で試験販売。後に「青 90」の名で登場したお酒は、「ライスワイン」と比べてかなり洗練されていましたが、今回の玄米酒も試験醸造のときに比べて、かなりスマートで飲みやすいというか、受け入れられやすいお酒となっています。このあたりが、実際の販売まで数年を要した理由でしょう。
なお、
お客さん「100までいったから、110も造って」
杜氏さん「110ってなんですか?」
お客さん「籾を付けたまま造って」
というお話もあったそうです。

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