劒菱酒造「黒松剣菱」27BY以前 兵庫県神戸市

灘五郷の内、御影郷に本社が所在する劒菱酒造さんのレギュラーラインナップ「黒松剣菱」です。27BY以前のタンクのブレンドで、平成29年9月5日製造(詰口)です。スーパーでも売っていますが、加東市山田錦乾杯まつりで購入。剣菱ファンが日常飲むのはこれかな。
黒松剣菱 900ml 1,300円

[Kuromatsu Kwnbishi] Brewery:Kenbishi Brewery, Hyogo pref, Kobe city
Specific designations:Standard, Variety of raw rice:Yamadanishiki and Aiyama, Degree of rice polishing:Unknown, Pasteurize:pasteurized, Yeast:Kenbishi-yeast ,Yeast starter:Yamahai-moto method, Alc%:17% Fragrance: rice straw , Taste:rich

山田錦 愛山 山廃 ブレンド

原料米は兵庫県産の山田錦と愛山。精米歩合は不明です。これはいくつかのタンクをブレンドしているためで、タンクの酒造年度も数年にわたります。伺ったところ、28BYは使っておらず、27BY以前のタンクのブレンドだそうです。酒母はもちろん劒菱伝統の山廃で、酵母は劒菱酵母です。アルコール度は17度。醸造アルコール添加です。

比類なきこの味は剣菱 ぜひ”燗”で

加東市の愛山契約地

この味は剣菱の味。灘のなかでも似た酒はありません。元々は伊丹の酒蔵で、「伊丹の丹醸」を今に引き継いでいるためでしょう。そう思わせる濃醇な味わい。米の甘味から生まれる旨みがたっぷり広がって、これを重厚な酸で切っていきます。甘みを残さず、酸が残る後口。熟成のほろ苦さを感じる余韻。遠慮のない穀物と熟成の香り。いかにも「酒らしい酒」は好き嫌いがはっきり分かれるでしょう。必ず燗で試してください。熟練した飲み手からの評価は高いですが、「若い人には好まれないかも」「飲みつけると、わかってもらえると思う」というのが造り手の思いです。超軟質米の愛山を守り育ててきたのもこの酒質であればこそ。県内の愛山生産農家(劔菱ではなく県外に出荷)の方も「こんな米を欲しがるのは剣菱くらいやった」と、この独特の味わいは万人が認めるとことです。

わずか5種の酒 いつも同じ味で

劒菱のレギュラーラインナップは下から「剣菱」「黒松剣菱」「極上黒松剣菱」「瑞穂黒松剣菱」「瑞祥黒松剣菱」のわずか5種類。レギュラー以外は灘酒造組合の提唱で各蔵が専用に仕込んで秋に出荷する「灘の生一本」シリーズと契約田のある兵庫県加東市の就労継続支援B型事業所生産の山田錦を使った加東市内限定販売の「なんでんの」くらいしか知りません。
ブレンドする理由は「いつも同じ味をつくるため」で、数種類、十数年分のタンクを保存し、これを専門のブレンダーがブレンドして作り上げます。ブレンダーはすべてのタンクの特徴を把握しており、目標の香味をたちどころに造り上げるそうです。

創業地・伊丹の酒造りを引き継ぐ

永正2年(1505年)に伊丹の地で創業。灘の地に移ったのは時代も下った昭和3年(1928年)のことになります。江戸時代には評価の高かった「伊丹の丹醸」の大看板で「後世に及び、剣菱の名独り海内に轟き、大凡(おおよそ)酒価の昂低(こうてい=高低)は、一に剣菱を以て、其の標準を為すに至れり」(灘酒史[明治43年発行])、というほどの人気を博しました。この間、現在の白樫家まで経営家はいくつも変わりながら、19世紀初頭には成立していた「劒菱」ブランドを継承。その酒造りの伝統も引き継いでいます。
その特徴はあまりにも多岐にわたり、一冊の本になるほど。とても書ききれません。ただ、現在も木製の樽や道具を使い続け、職人の枯渇で入手困難になるや、社内で大工を養成して、仕込み樽や暖気樽の他、様々な道具を製作。他の蔵からも引き合いが来るほどだそうです。

剣菱の味は決して変えないという姿勢

長い歴史の中でエピソードには事欠きませんが、戦後の米不足酒不足で3倍醸造酒が要求された時代に、頑なにこの生産を拒み、やむを得ず造らざるを得なかったときも、タンク1本のみ仕込んで、他の蔵に譲渡。このために処罰(酒造りに使えるお米の量をカット)を受けたが、それでも三増酒を剣菱の名で世に送り出すことを断固として拒み続けたというエピソードは、たとえ処罰を受けようが、不心得者の烙印を押されようが、剣菱の味は決して変えないという姿勢に受け継がれています。
写真は魚崎郷にある魚崎蔵ですが、他にも同じ魚崎郷で櫻正宗に隣接する中蔵、御影郷の本社に隣接する内蔵の他浜蔵、貯蔵庫、精米所を持っており、阪神大震災で倒壊した蔵が再建され、所在地は広域に点在しています。

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