富久錦「純青 愛山 生酛純米吟醸 無濾過 生原酒・純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」28BY 兵庫県加西市

 

兵庫県加西市の純米蔵、富久錦さんの新ブランド「純青」です。純青サポーター制度で年3回頒布される製品のうち第2回目、3月に頒布された「純青 愛山 生酛純米吟醸 無濾過 生原酒」「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」の2本です。いずれも平成29年3月製造です。
純青サポーター 年会費10,000円(税別) 3回6本(各720ml)

それぞれの特徴ある酸と明快な質感

今回は「お米の旨みが凝縮された純米吟醸と純米大吟醸。それぞれのお米ならではの酸と旨みのバランス」がコンセプト。「純青 愛山 生酛純米吟醸 無濾過 生原酒」は鈍角の重量感のある酸、「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」は鋭角で軽快な酸が特徴です。いずれも美しい洗練された酸味です。愛山は超軟質米ですが、そのとおり甘味も重量感と厚みを持っていて、同じく質感のある酸味と相まって骨太で力強い味わいです。一方の兵庫夢錦は甘味もクリアな軽さで、シャープで苦味が切れ味爽やかな味わいです。いずれも酸を中心に姿かたちのはっきりした味わいが鮮やかです。濃厚な旨みと言うよるはソリッドな質感を感じますが、それぞれの米の特徴が全く異なるお酒に表現された飲みごたえある2本になります。ともに吟醸酒ですが、いわゆる香吟醸ではない味吟醸で、複雑さよりも現代アメリカ文学的な無駄のない明快さが印象に残りました。

「特上」等級の愛山を使った純米吟醸

橋を渡って入る、クラシックな蔵の母屋

まず、「純青 愛山 生酛純米吟醸 無濾過 生原酒」ですが、米はもちろん愛山です。精米は60%。生産者は契約農園である加西市の西脇農園。毎年タンク1本分しか入手できないお米です。今回使われた愛山は農産物検査等級が「特上」です。これは稀有のことで、平成28年度生産の醸造用玄米で「特上」の等級を得たのは兵庫県産の愛山、兵庫恋錦、山田錦と山口県産の山田錦のみで、兵庫県産愛山561トンのうち14.7%が特上の評定を獲得しています(平成29年2月末現在)。
※なお、「兵庫恋錦」というのは菊正宗が開発・契約栽培している山田錦系の米で、11月か12月に1回だけ菊正宗から限定販売されます。また、兵庫県産山田錦21,799トンのうち4.2%が特上です。
アルコール度は16度。酒母は今年度から生酛となっています。酵母は協会901号と+αの混醸です。
一方の「純青 兵庫夢錦 生酛純米大吟醸」は豊倉町営農組合生産の兵庫夢錦を50%精米したもの。当初は山田錦の予定でしたが、原料米調達の都合で変更になりました。山田錦から兵庫夢錦とは大胆な変更ですが(値段が違う)、ここに文句を言わないのが、蔵の気合に男気で応える純青サポーターの由縁です。
アルコール度は16度。酒母は同じく今年度から生酛。酵母も同じく協会901号+αです。

過去にとらわれない最善の方法で表現する「純青」

伊藤岱玲作の盃。一つずつ図柄が異なるもの。

今年度から純青はすべて生酛づくり。これを「富久錦流古式醸造法」と表現しているのは、伝統的な「生酛づくり」と「近代的な酵母菌に濃度的なストレスをかけない発酵スタイル」を融合するということから。なかなかに理解が至りません。蔵の案内では「播州古式」醸造法となっていますが、「灘の生酛とどのあたりが違うのか」と伺ったところ、「特別には違わない」ということでした。これは「灘」「播州」という単位での違い云々ではなく、生酛という技法で得た酵母をどう生かしていくかを自分たちで考えた最善の方法で模索するという意味だと思います。稲岡敬之社長は東京農大出身で、自ら酒づくりの現場で作業に当たられます。純青は今年で4年目の造りとなりますが、「過去の慣習や規制概念にとらわれず、最善の方法を探る」という方針で、「純米大吟醸造りもとことんこだわりづくした」というのが、例えば、麹造りで麹室の温度を40℃超まで上げるというところにも表れているのでしょう。
純青サポーターは11月末までに1万円を支払うと12月、3月、8月に2本(720ml)の計6本とオリジナル盃、酒粕が送られてきます。毎回第1回に同梱されている伊藤岱玲作の盃が、今回は作家さんの窯の故障で第2回になりましたが、1個1個図柄が異なるという凝ったもの。昨年より深めでふくらみのある形状になっていました。さて、8月の第3回はどような意匠を見せてくれるのか、今から楽しみです。

 

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