本田商店「龍力 純米 Dragon Episode3」28BY 兵庫県姫路市

姫路市網干区に蔵を構える本田商店さんの新ブランド「Dragon」のなかの1本。Dragonは五代目・本田龍佑氏が新しい日本酒を追求したもので、これまでの「龍力」のイメージから距離を置いて自由に展開します。

龍力 純米 Dragon Episode3 720ml 1,443円(税抜き)

Fruity and mild Japanese Sake. It is one of Hond Syoten ‘s new brand “Dragon” series in Himeji City, Hyogo Prefecture. This is Junmai-syu (with no alcohol added) using Yamada Nishiki(rice polishing ratio 65%) as raw rice. Yeast is Kyokai No. 9 yeast. First of all it smells tropical fruits like pineapple and banana. It features its sweet scent and fruity sweetness. Next, I feel sour. You can enjoy a rich flavor with this sweet and sour taste combination. The degree of alcohol is 16 degrees.

印象 熱帯の果実のような甘やかな香味

「日々飲みたいお酒」を企画のコンセプトにしたお酒。ただし、これまでの「日常のお酒」が表現する一般化された「いかにもお酒」というものではありません。低価格を第一条件に設計されたものでもありません。
最初の感覚は吟醸酒。まずは、パイナップルやバナナのような熱帯の果物を感じる香りが立ちます。その甘い香りに誘われて、最初に甘味を感じます。このフルーティな甘味とこれを追いかける酸味が長く引っ張られて、旨みを充分に味わえます。一方で、この甘味と酸味はマイルドで穏やかなもので、後味も嫌味なくクリアにキレていきます。無理なくいろいろな料理と合いそうで、このあたりが「日々飲みたいお酒」のコンセプトを体現しているようです。

特徴 9号系酵母の多様な表現力を示す

計器の上にお札が並べられた麹室

米は山田錦を20%、五百万石を80%の割合で使ったもの。「山田錦のコクと五百万石の軽やかさ」の両立をめざしたもので、精米は65%です。この精米は「原形精米」で行っていて、より高精米の効果を生み出しています。ここから吟醸酒のような果実的な香りとフルーティな酸味を生み出しているものと思われます。アルコール度は16度。日本酒度は0で酸度は1.6、アミノ酸度も1.6となっています。酵母は9号系酵母。この蔵ではほとんど9号系酵母を使っていて、昨酒造年度の鑑評会金賞受賞酒も熊本酒造研究所酵母です。この金賞受賞酒はカプロン酸エチルのリンゴの香りが濃厚に立ち上がるもので、今回の酢酸イソアミル系のお酒とは対照的なものになっています。同じ酵母を使って全く性格の異なるお酒に仕上げる力量はさすがですが、9号酵母の奥の深さも感じます。

新ブランド「Dragon」の試み

本田商店は大正10年(1921年)創業。とりわけ山田錦への強いこだわりで知られていますが、他方では細部の工程まで丁寧に手間をかける酒造りも特徴です。「1%削るつもりで米を洗う」という能登の名杜氏・波瀬正吉氏の言葉を引用する洗米にこのことが表れています。更に、保管のための巨大な冷蔵設備も備えられています。

この伝統を引継ぎながらも、「龍力が追求するのは『山田錦』であり『王道』」「すべての造りが技術的には確立し、おいしいのは当たり前」とするなかで、「どう美味しいのか」の具現化を試みる、というのがドラゴンシリーズのコンセプトとされています。「冷・常温・燗・全てが平均的に美味しいのではなく・・テーマごとに特化したお酒」を追求したシリーズに仕立ててあります。それが大吟醸の新たなる挑戦としての「大吟醸 Episode1」、甘味は旨みというスタンダードの「純米吟醸 Episode2」、フルーティ&マイルドな「純米酒 Episode3」、伝統的な旨み、革新的なキレの「特別純米 特別限定Dragon」になっています。

姫路市網干区高田361-1

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