日本盛「生原酒200mlボトル 大吟醸・純米吟醸・本醸造」28BY 兵庫県西宮市

コンビニで買えるお酒です。灘五郷のうち西宮郷の大手メーカー日本盛さんが2015年2月から展開する缶入りの「生原酒」です。当初、大吟醸と本醸造が発売され、2017年2月に純米吟醸が追加されました。

大吟醸200ml  320円(税抜)
純米吟醸200ml 300円(税抜)
本醸造200ml  260円(税抜)

特徴 無菌充填と限外濾過

これまで、酒蔵か低温管理のできる特別の販売店でしか販売できなかった「生酒」を「原酒」で缶に詰めることでコンビニ・スーパーでも販売し、いつでも、どこでも飲めるようにしたというコンセプトのお酒です。このためには、酒質を変化させる内外の要素を取り除く必要がありました。外的要素は空気との接触による変化。これを防ぐために缶入りで密閉できる蓋構造にし、ボトリングの過程で無菌充填をしています。また、内的変化を防ぐために濾過膜による限外濾過(ultra filtration)により酵母だけでなく酵素も取り除くことで変化の要因を除去したものです。これは「生ビール」と同じ手法で、酵母を除去して「生と言えるか?」という議論は「生ビール論争」として以前からありましたが、今回は置いておきます。

本蔵、北蔵をもつ日本盛本社

原料米の記載はありませんので、特定名称表示条件を満たす3等級以上の一般米を含めた米でしょう。大吟醸は精米50%、アルコール度18度以上19度未満、日本酒度+4、酸度1.5、アミノ酸度1.5。純米吟醸は精米55%、アルコール度16度以上17度未満、日本酒度-5、酸度1.9、アミノ酸度1.7。本醸造は精米70%、日本酒度-6、アルコール度19度以上20度未満、酸度1.9、アミノ酸度1.9というもので、結構な幅があります。
酒母は高温糖化酛。酵母は大吟醸と純米吟醸は同じもので本醸造は別の自社酵母ということですが、それ以上の詳細は非公表なので「勘弁して」ということでした。いずれにしても、これを同じ酒質で大量に供給し続けるのは大手でしかできないことでしょう。

 

印象 3酒3様の香りと味わい

3つに共通のフレッシュ感は「生」というコンセプトどおり。クリアなところも共通ですが、「薄い」というのではなく、軽快ながらもしっかりとした味わいがあるのも一致した特徴です。いずれも、いわゆる経済酒(安酒)ではなく、じっくり味わうのに堪える酒質です。

大吟醸 表示「芳醇な香りの辛口」

もっともしっかりした吟醸香がボトルの広口から立ち上ります。ドライでシャープな味わいです。口に含むと甘味、酸味、苦み、辛味一体の芳醇な味わいが一気に広がりますが、短時間でキレて苦味と辛味が透明感のなかに残る後味です。ストレートなアルコール感がありますが、インパクトある一瞬の芳醇さの他は、全体としては軽快な印象です。

純米吟醸 表示「濃醇でフルーティな香り」

吟醸香は穏やかに香ります。マイルドな味わいですが、日本酒度-6というイメージよりははるかにドライです。甘味と酸味を基調にした穏やかで濃醇な質感が長く続きます。後半は酸味が勝りながら苦みや辛味と合わさってキレる感じですが、最後までマイルドな印象は残ります。この果実的な酸味によって最もフルーティな味わいになっています。

本醸造 表示「濃厚なコクと旨み」

こちらは一転して穀物的な香りと味わいが特徴です。おだやかな麹香。全体的に香ばしい五味がふくよかに広がります。もちろん濃厚までは行かないですが、精米70%で酵母も異なるため、他の2品とは明らかに異なる「コク」を全面に出した田舎酒スタイルになります。まったりとした日本酒らしさを味わうならこれがよいでしょう。

この挑戦は大ヒットとなるか

日本酒業界の主要プレイヤーを構成する大手酒蔵ですが、毎年出荷量が減っているようです。一方で、「もっとおいしく、もっと美しく」をブランドメッセージにして「米ぬか美人」「NS-K」ブランドの化粧品は好調のようですので、化品メーカーへ転業か?と思っていたところに、この「生原酒200mlボトル」が登場しました。そこで、乾坤一擲の挑戦かと思ったりしています。大量の酒を同じ酒質に合わせるのは大手蔵にしかできない技ですが、それを調整過程をショートカットして限外濾過、無菌充填という大きな設備投資が必要な手法で行うのはさらに中小酒蔵ではできないことで、このチャレンジがヒットとなるかはとても興味のあるところです。

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