佐々木酒造「聚楽第 吟醸 あらばしり」28BY 京都府京都市

京都の洛中に蔵を構える佐々木酒造さんの「聚楽第 吟醸 あらばしり」です。命名の由来はかつて聚楽第があったところ、現在の二条城の北に蔵が位置するところから。共同開発した独自酵母「京の琴」が使われています。
〇聚楽第 吟醸 あらばしり 720ml 1,543円(税込)

印象 鮮やかな吟醸香と軽やかな甘味

フルーティで軽やかな仕上がりになっています。まずは、比較的鮮やかなリンゴの香り、吟醸香が立ち昇ります。濃厚なものではなく爽やかな香りです。続いて感じるのは甘味。フルーティな甘味がベースの味になっています。一方で酸度は1.6と低い値ではないものの、酸味を強く意識させることはなく、表立って主張してくるわけではありません。ほろりとする苦みがキレ味となり、甘味を残しながらあっさりとキレていきます。このあたりは、アルコール添加した本醸造系の吟醸酒そのものといったところでしょう。「あらばしり」ですが、尖ったところはなく、フレッシュよりも落着きに振った印象です。火入れはされていて、発泡性などはありません。

特徴 酵母「京の琴」を使った吟醸酒

直売所になっている事務所兼の入口

米は五百万石他を60%精米したもの。他とはなっていますがほとんど五百万石で、一部他の酒米が入っているもの。酒母は速醸。アルコール度は17度、日本酒度+4、酸度1.6。特定名称区分は醸造アルコール添加の「吟醸」です。ヤブタの最初の自重で搾られる「あらばしり」の部分。このため11月下旬から3月までの冬季限定販売になります。。仕込水は蔵の井戸からくみ上げられる西山水系の軟水。洛中の名水の一つです。
酵母はつくば市の産業技術総合研究所と京都市産業技術研究所と共同開発した吟醸酵母「京の琴」。けっこう鮮やかな吟醸香ですがセルレニン耐性株ではないそうです。研究所の説明では「901号と同じような造りでより香りの高いお酒を造ることができる」というものですが、ベースになった酵母系統については非公開で、蔵元さんによると「聞かないことになっている」そうで、このあたりは業界の仁義です。共同開発のため公開されており、京都府下の半分くらいの蔵で使われています。

洛中中心部に残る唯一の酒蔵

講座で講演する佐々木社長。参加者の9割が女性でした。

洛中は足利義満が「花の御所」を造営した永和4年(1378年)頃には酒造りの中心となり、応永32年(1425年)に書かれた「洛中洛外酒屋名簿」には342軒の酒屋(土倉)が記録されています。このように発展したのは、諸国から集まる貢米が三条室町の米揚(取引所)に集まるため、原料が豊富に確保できたことと、良質の水が得られたことによるものです。もともと京都に都が置かれたのも地下水が豊富であったためと言われますが、京都の地下には複数の水系が重なり、水深800mまでに211億㎥という地下水があり、こちらの蔵はなかでも名水の採れた聚楽第跡の南端に位置して、地下15mに水面のある西山水系の井戸から良質の軟水を得ることができるそうです。
「京職人、伏見商人、灘大名」と言われたように、江戸時代の下り酒と海運で発展した灘と明治時代以降の消費拡大の中で様々な事業革新で発展した伏見に対して、洛中は職人気質を貫いた結果、また、市街地にあって規模拡大が困難な立地にあったことから、衰退の途をたどった結果、現在の数軒を残すのみとなっています。
南に二条城、東に京都御所、西に北野天満宮という市街地にあって、年間270klということは1,500石の造石量です。明治26年(1893年)創業と新しい酒蔵ですが、代々能登杜氏の系譜にあり、特定名称酒を中心に展開してかなり人気の酒蔵となっています。京のまちという土地柄にあったお酒と吟醸系中心の酒造り、新しい技術も取り入れた展開で特に女性に人気があるようです。

京都市上京区日暮通椹木町下る北伊勢屋町727

 

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