櫻正宗「櫻正宗 焼稀 協会1号酵母」27BY 兵庫県神戸市

2016/11/17投稿記事  神戸市の灘・魚崎郷にある櫻正宗さんの「櫻正宗 焼稀 協会1号酵母」です。H28年7月製造の純米酒の火入れです。

特徴 「協会1号酵母」で当時を再現

このお酒の特徴は「協会1号酵母」を使ったところ。協会1号酵母はこちらの蔵の酒から分離され、明治40年(1907年)から昭和10年まで配布されました。米は吉川町特A地区産の山田錦を80%精米したもの。仕込水は宮水を使用。アルコール度は15度以上16度未満。酒母は生酛ですが、醪ともども協会1号酵母が活躍した時期の経過を再現したものです。

印象 明治大正期の酒はこうであったか

香りは弱い穀物様あるいは麹香です。色合いはやや濃いめの黄金色。味は口当たりからキレまで力強い酸が貫きます。鋭い酸ではなく重量感のある丸い酸味です。「どっしりとした米の旨み」という蔵の紹介ですが、甘味や旨みは酸の周辺に見え隠れする程度で、ちょうど皆既日食のリングのよう。現代の繊細さと洗練を基調にした味と比べると、いま時の酒ではない。「明治大正期の酒はこうであったのか!」と歴史を感じさせる骨太で単純なお味です。

協会1号酵母

協会1号酵母は戦中の混乱のなかで消失し現存しないとされていたものが、醸造協会で発見され、出身蔵であるこちらで60年ぶりに復元されました。安全醸造が至上課題であった時代のこと。この酵母の性格も「強健」の一言。「発酵力が強く酸の生産が多い。雑菌にも強い」という説明でしたが、80%という低精米では出そうな雑味や複雑さをも凌駕する酸に単純明快な特徴に表れています。

宮水の発見と協会1号酵母の名門蔵

櫻正宗 宮水井戸

唯一の醸造蔵「櫻喜蔵(はなのきぐら)」で年間5,000石を造ります。季節醸造ですが、製造部門は7人と少人数のため8月から仕込みに入るそうです。製品はほぼ高級酒に特化しているため、「連続蒸米機も使う機会が少ない」という話で、手作りの割合が増えているそうです。使う酵母は901号、1001号、1401号と灘では珍しい組み合わせ。鑑評会出品酒は1801号のようです。
寛永2年(1625年)に伊丹で酒造を開始。後に灘に移り、天保11年(1840年)に6代目山邑太佐衛門が宮水を発見。魚崎郷と西宮郷に蔵を持っていたところ、いつも西宮郷の蔵で造った酒のできがよいことに疑問を持ち、杜氏と蔵人を総入れ替えしたり、道具を入れ替えるなどの実験の結果、水の違いが原因と突き止めたという話です。同時期に、西宮郷の雀部市右衛門も宮水の優位性を発見をしたそうで、西宮ではこちらを採る傾向があります。
この宮水の発見と協会1号酵母が灘の名門蔵としての名声を確立する由縁となっています。

櫻正宗 焼稀 協会1号酵母 720ml 2,485円(税抜き)

神戸市東灘区魚崎南町5-10-1

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