井澤本家 「倭小槌 純米吟醸 大地讃頌」27BY 兵庫県稲美町

2016/6/2投稿記事 兵庫県稲美町の井澤本家さんの「倭小槌 純米吟醸 大地讃頌(だいちさんしょう)」です。H28年5月製造の火入れです。

特徴 自家栽培山田錦を1801号と1401号で

かなり、かなり個性的なお酒です。米は蔵元の自家田において低農薬で栽培した山田錦を55%精米しています。アルコール度は17度以上18度未満。純米の吟醸酒です。生酒もありますが、今回は火入れを選んでみました。酵母は1801号と1401号の混醸だそうです。酒母は速醸系でしょう。

印象 果実的な酸がボリューム太く走る

果実系のフレッシュな味わいとカプロン酸エチルが勝った吟醸香もさわやかなお酒です。しかし、その味わいは、最初から最後まで、口当たりからのど越しまで、果実的な酸がボリューム太く走り、その下で甘みがふくらみ消えて行きます。甘みは表立たず穏やかで、あくまで果実的な酸(リンゴ酸でしょうか)を堪能するお酒です。いろいろ飲んできましたが、例えば50杯試飲しても、「あっ、これは」と気付くであろうほどの特徴あるお酒です。これは酵母が生み出す個性でしょうか。高エステル生成系の1801号は今や鑑評会でも主流となっていて、とりわけ豊かなカプロン酸エチルを特徴としますが、これに同じ高エステル生成系と言っても、酢酸イソアミル生成を特徴として比較的穏やかな繊細さを売物にする1401号を合わせています。いずれも酸の生産は少なめと思っていましたので、これはちょっとした驚きです。

突然、日本酒の最前線に踊り出た

ここを入ると販売所。奥に蔵が

この「大地讃頌」というネーミングはカンタータ「土の歌」(大木惇夫作詞・佐藤眞作曲)第7楽章から採られた名前で、ラベルにもその一節が載せられています。日本酒にしてはかなり変わった名付けですが、杜氏をはじめ酒造体制の変更から、昨年11月にはHPもリニューアル。「品目を整理し、特徴のある酒に絞り込んで造っていきたい」と新たな展開をはじめている酒蔵です。私の印象では、数年前はそんな感じではなかったんですが。(少しくたびれた雰囲気?)

今や日本酒業界は消費量の落ち込みから全体的には元気を無くしている一方、突破口を求めて、新たな挑戦の機運や動きも高まっていますが、突如、この最前線に華々しく名乗りを揚げたという印象です。何があったのでしょう?いずれにせよ、これはうれしいことで、他のお酒も呑んでみたい。大吟醸は熟成を待って秋口に発売するのも、この蔵のこだわりで、こちらも楽しみです。

倭小槌 純米吟醸 大地讃頌 720ml 2,160円

兵庫県加古郡稲美町818

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