西海酒造 「空の鶴 純米大吟醸」生 26BY 兵庫県明石市

2015/7/11投稿記事 「とことん、全て自家製」にこだわった兵庫県明石市魚住町にある西海酒造さんの「空の鶴 純米大吟醸」です。「播磨の吟香『空の鶴』」と表記されています。

特徴 無農薬自家栽培山田錦の純米大吟醸

このお酒は自家栽培の山田錦を100%使った45%精米の純米大吟醸の生酒です。アルコール度は17度。日本酒度は+3前後、酸度は1.5前後と表記されています。酵母はきょうかい1801号と9号の併用ということでした。こちらの蔵の特徴は「とことん、全て自家製」というところ。米の山田錦は自家水田でレンゲと米糠のみで農薬を使用せず作ったもの。最近は自家耕作も珍しくはなくなってきましたが、苗から自家製というのはすごい。

印象 濃醇スタイルの純米大吟醸

お味は、純米大吟醸としては濃い酒です。純米大吟醸のコンセプトは一時の淡麗スタイル一辺倒から、濃醇スタイルと二局化しているように思いますが、こちらは明らかに濃醇に属します。蔵で頂いた説明書の解説「フルーティーな香りで一度飲んだら忘れられない芳醇な味です」のとおり、甘み、酸味もたっぷり感じられるお酒です。高エステル生産系の1801号を使っているので、もちろん吟醸香豊かですが、「カプロン酸系よりも、昔ながらのイソアミル系の方が私は好きで」という蔵元杜氏さんの言葉どおり、イソアミル系の香りや味わいがたっぷり味わえる、まさにフルーティーな旨い酒です。9号との併用ですが、1801号のみだと「夏を越すと若干落ちる」ということで、そのあたりの微妙なバランスも考慮してのことがあるようです。いずれにしても、これは播州酒の中でも、トップレベルにある「純米大吟醸を堪能できる」逸品です。

この規模で自家精米

自家製の苗

写真は蔵の中庭にあった、6月14日の田植えで残った山田錦の苗です。「よかったら持って帰って下さい」とのことでしたが、「いや、田んぼ持って無いんで」とお断りしました。

更に、自家精米。年間生産量は「7,000本くらい」ということは70石程度でしょうが、この量で自家精米は稀有です。精米機は30年前からのものので、45%精米まで7日間かかるとのことでした。メーカーの営業マンも「見たことない」という機械を大事に使い続けておられます。搾りもヤブタではなく、「ヤエガキ式」という佐瀬式のような機械で、「とにかく力仕事」という作業を、72歳になる元教師の蔵元さんと奥様、兼業の息子さん夫妻でこなしておられます。「日本一小さいんじゃないか」とおっしゃるコンパクトにまとめられた蔵で、「この蔵ならではの味とスタイル」を守った酒造りをされています。

HPの「空の鶴ができるまで」は必見の労作です。

「空の鶴 純米大吟醸」生  720ml 2,680円

兵庫県明石市魚住町金ケ崎1350

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